生活費の分岐点

基本料金0円の電気2社、固定部分が安いほうが13か月とも割高

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電気・ガス 公開 2026-09-30 データ取得 2026-09-12

固定部分が6.20円安いほうが割高だったのは 13か月すべて 2025年7月〜2026年7月。固定+変動をそろえた1kWhあたり・東京エリア

この記事の根拠

  • 独自集計 リボンエナジー(東京エリア)の固定従量料金は税込22.00円/kWhで、割引は7種・全部で最大3.85円。ファミリー割引だけは世帯人数に応じた0.11円〜0.55円の5段階 リボンエナジー公式のエリア別料金単価ページと割引プログラム各ページを実クローラのUAで取得 / 2026-09-12取得
  • 独自集計 ネット電力の固定部分は税込28.20円/kWhで、うち1.20円は料金表の単価に含まれない容量拠出金相当額。変動部分は加算基準価格15.00円と減算基準価格5.00円(いずれも税抜)を外れた分だけが乗る ネット電力の料金ページおよび電気需給約款 / 2026-09-03取得
  • 独自集計 JEPX東京エリアプライスの月平均は、丸1か月そろった17か月(2025年4月〜2026年8月)で14.62円/kWh(税抜)、最高21.24円、最低11.17円。減算基準価格5.00円を下回った月は無い JEPXスポット市場の30分コマを月ごとに平均(scripts/watch/zero-kihon.mjs) / 2026-09-06取得
  • 独自集計 リボンエナジーの変動従量料金には、30分ごとの東京エリアプライスがそのまま適用される。上限の記載は無く、表示は「0.01円〜」 リボンエナジー公式「料金メニュー(東京エリア)」の本文を実クローラのUAで取得(原文を控えてある) / 2026-09-06取得
  • 独自集計 東京ガス基本プラン(30A)の実質単価は、燃料費調整−5.80円/kWhを入れると第1段階23.90円・第2段階29.89円・第3段階33.70円になる 東京ガス「基本プラン」の料金表(基本料金・3段階の単価・燃料費調整単価)から計算(scripts/watch/denki-crossover.mjs) / 2026-09-05取得

データの取得方法と計算の方針

「基本料金0円」を掲げる新電力が増えました。2社の料金表を並べてみたところ、0円になっている項目は同じでした。違うのは0円になった理由と、その代わりに乗るものでした。そして固定の単価が安いほうが、そろえて計算すると高くなりました。

固定で決まる部分

使用量に関係なく決まっている単価だけを取り出します。すべて税込です。

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事業者 基本料金 料金表の従量単価 単価表に含まれない上乗せ 固定部分の合計
リボンエナジー(東京エリア) 0円 22.00円 — 22.00円
ネット電力(東京電力エリア) 0円 27.00円 1.20円 28.20円

差は6.20円/kWhです。 ただしこれで結論は出ません。

ネット電力の1.20円は容量拠出金相当額という項目で、料金表に載っている27.00円には含まれていません。 2026年度の単価で、同社は低圧・高圧一律としています。単価表だけを見て比べると、この1.20円ぶんずれます。

この項目が何の費用にあたるかは、料金ページと約款では確認できませんでした。リボンエナジーの料金ページにも、これにあたる項目は見つかりませんでした。22.00円に含まれているのか、別に取られないのかは確かめられていません。 足したのは、公表されている項目だけです。

「0円」の中身が違う

どちらも燃料費調整額が0円ですが、意味が違います。

リボンエナジー ネット電力
燃料費調整額 0円(仕組み自体が無い) 0円(2024年1月分から廃止)
代わりに乗るもの 変動従量料金 電源調達費調整額
その中身 30分ごとの市場価格(東京エリアプライス)がそのまま 2つの基準価格を外れた分だけ
基準価格(東京・税抜) — 加算15.00円/減算5.00円
上限 記載なし(表示は「0.01円〜」) 加算側になし/減算側は最大4.00円(税抜)

ここが決定的な違いです。

リボンエナジーは市場価格そのものが単価に乗ります。市場価格が10円なら10円が乗ります。

ネット電力が乗せるのは、市場価格が加算基準価格15.00円を超えた分と、減算基準価格5.00円を下回った分です。5.00円から15.00円の間に収まっている30分では、加算も減算もされません。

同じ「市場連動」でも、乗る量がまるで違います。

市場価格がいくらだったか

2社を比べるには、この「市場価格」の実績が要ります。JEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場の30分コマを、月ごとに平均しました。

丸1か月そろったのは17か月(2025年4月〜2026年8月)で、平均は14.62円/kWh(税抜)、最高が21.24円(2026年8月)、最低が11.17円(2025年12月と2026年2月)でした。

月数
月平均が加算基準価格15.00円を超えた月 5か月(2026年4月〜8月)
月平均が減算基準価格5.00円を下回った月 0か月

17か月のうち、減算基準価格を下回った月はありませんでした。

実際の調整額は30分コマごとに計算されるので、月平均が5.00円から15.00円の間に収まっていても、その月の中で15.00円を超えたコマがあれば加算されます。同社が公表した電源調達費調整額の月平均13か月分は、いちばん低い月でも+0.06円(2025年12月)で、すべて加算側でした。引かれた月はありません。

同じ月でそろえて計算する

固定部分に、その月の変動部分を足します。再エネ賦課金は全社共通なので、どちらからも除いています。

並べられるのは、両社の変動部分がそろっている13か月(2025年7月分〜2026年7月分)です。市場価格は17か月ぶんありますが、ネット電力が取得日(2026年9月3日)の時点で公表していた電源調達費調整額は、2025年7月分から2026年7月分までの13か月ぶんでした。それより前の月と、2026年8月分以降は取得できていません。

リボンエナジーの変動分に消費税が乗るかは公式ページで確定できませんでした。ここでは税抜の市場価格をそのまま足す、リボンエナジーに有利な置き方で並べます。

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月 市場価格(税抜) リボンエナジー 電源調達費 ネット電力 差
2025年7月 13.88円 35.88円 1.77円 29.97円 5.91円
2025年8月 13.21円 35.21円 1.69円 29.89円 5.32円
2025年9月 12.92円 34.92円 1.78円 29.98円 4.94円
2025年10月 13.06円 35.06円 0.73円 28.93円 6.13円
2025年11月 11.84円 33.84円 0.31円 28.51円 5.33円
2025年12月 11.17円 33.17円 0.06円 28.26円 4.91円
2026年1月 12.07円 34.07円 0.37円 28.57円 5.50円
2026年2月 11.17円 33.17円 0.44円 28.64円 4.53円
2026年3月 14.38円 36.38円 0.98円 29.18円 7.20円
2026年4月 20.06円 42.06円 6.68円 34.88円 7.18円
2026年5月 18.01円 40.01円 3.54円 31.74円 8.27円
2026年6月 20.01円 42.01円 5.04円 33.24円 8.77円
2026年7月 19.86円 41.86円 3.08円 31.28円 10.58円

13か月とも、固定部分が6.20円高いネット電力のほうが低くなりました。 差は4.53円から10.58円です。

理由は変動部分の定義です。たとえば2025年7月、市場価格は13.88円でした。リボンエナジーにはこの13.88円がまるごと乗りますが、ネット電力に乗ったのは1.77円です。固定部分の6.20円の差より、変動部分の差のほうが大きくなっています。

割引7つを全部つけても入れ替わらない

リボンエナジーには割引が7種類あります。

割引 単価
マイホーム/ペット/オール電化/太陽光/蓄電池/EV 各 −0.55円
ファミリー(世帯人数に応じて5段階) −0.11円〜−0.55円
7つ全部つけた場合 −3.85円

7つ全部つけると1kWhあたり3.85円引きで、東京エリアの固定部分は 22.00円−3.85円=18.15円 になります。

これで同じ13か月を計算し直しても、13か月とも入れ替わりませんでした。 差はいちばん縮んだ2026年2月で0.68円、いちばん開いた2026年7月で6.73円です。

ただしどの割引も申し込みと審査が要ります。 持ち家で、ペットがいて、オール電化で、太陽光と蓄電池とEVがある——7つ全部に当てはまる人は多くありません。割引の内訳と条件は電気の割引7つを全部つけても、17か月中14か月は割高の計算で詳しく計算しています(そちらは相手が東京ガスで、期間も市場価格がそろっている17か月です)。

契約条件の違い

リボンエナジー ネット電力
割引 7種(全部で最大3.85円/kWh) 取得した範囲に記載なし
契約期間 縛りなし 1年ごとの自動更新
解約金 なし 約款に定めなし
初期費用 なし なし

割引のページがあるのはリボンエナジーだけでした。ネット電力の料金プランページと約款には割引の記載が見当たりません(記載が無いというところまでで、割引が無いと確かめたわけではありません)。一方、入るときと抜けるときの費用は2社とも無しでした。 契約期間の書き方は違っていて、リボンエナジーは縛りなし、ネット電力は1年ごとの自動更新ですが、ネット電力の約款にも中途解約金の定めは見当たりませんでした。

基本料金がある側と何が違うか

参考に、基本料金のある東京ガス基本プラン(30A)を並べます。ここだけは上の13か月ではなく、これから契約する人が払う単価で並べます。燃料費調整は、政府の電気・ガス料金支援が2026年9月使用分で終わる前提で、支援が無い2026年10月使用分からの単価(−5.80円/kWh)です。

料金表の単価 燃料費調整を入れた実質単価
第1段階(120kWhまで) 29.70円/kWh 23.90円/kWh
第2段階(120〜300kWh) 35.69円/kWh 29.89円/kWh
第3段階(300kWh超) 39.50円/kWh 33.70円/kWh

これに基本料金935.22円/月(30A)が乗ります。

段階制なので、使うほど単価が上がります。 ただし第1段階の実質単価は23.90円で、基本料金0円の2社より低くなっています。「基本料金0円はフラットだから使うほど有利」という形にはなっていません。

実際には、使用量が少ないうちは基本料金0円の側が935.22円ぶん有利で、その935.22円を、東京ガスの第1段階の安い単価が1kWhずつ削っていくという形です。削り切れるかどうかは契約アンペアと使用量で変わります。

基本料金0円のプランと東京ガスを使用量ごとに計算した結果は、基本料金0円の電気、30A契約では使う量で逆転しなかったにまとめています。

なお上限が無いのは新電力だけではありません。 東京ガスの公式ページにも書かれています。

燃料費調整の上限の設定はありません。

上限があるのは大手電力の規制料金(従量電灯Bなど)の側です。規制料金から離れた時点で上限は無くなっていると考えたほうが、実態に合います。

契約前に確認する順番

確認すること どこで分かるか
固定の従量単価 料金単価表
単価表に含まれない上乗せの有無 約款・重要事項説明書
変動部分が「市場価格そのもの」か「基準価格を外れた分」か 料金の仕組みの説明
基準価格がいくらか、毎月見直されるか 約款の調整額の条項
加算側の上限の有無 約款の調整額の条項
自分の使用量と使う時間帯 検針票・マイページの過去12か月

単価表だけを見て比べると、含まれていない項目の分だけずれます。 そして今回のように、そのずれより変動部分の定義の差のほうが大きいことがあります。

この記事の限界

1kWhあたりの単価の比較です。 使用量ごとの月額ではありません。基本料金がどちらも0円なので、この2社に限っては単価の大小がそのまま月額の大小になります。

過去の市場価格を当てはめた計算です。 過去の実際の請求どうしを比べたものではありません。これからの月がどうなるかは、市場価格しだいで変わります。

2つの月の並べ方が同じかは確かめられていません。 電源調達費調整額は同社が「◯年◯月分」として公表している値をそのまま使い、同じ年月のJEPX月平均と並べています。この「◯月分」が使用月か請求月かの注記は見つかっていません。請求月だとすると1か月ずれます。

ネット電力側の単価は、料金ページの表示のまま税込として扱っています。 27.00円と1.20円は税込表記ですが、電源調達費調整額の公表値に税区分の明記は見つかっていません。仮に税抜だとして1.1倍すると、いちばん高い月(6.68円)でも0.67円上がるだけで、13か月の順位は変わりませんでした。

変動部分はどちらも月平均です。 リボンエナジー側はJEPXの30分コマの単純平均、ネット電力側は同社が公表する事後の平均単価で、重み付けの仕方が違います。実際の請求は30分ごとの使用量で決まるため、昼に太陽光で価格が下がる時間帯をどれだけ使うかで実額が動きます(市場連動型の電気は18時が最も高い。7時と12円差)。

ネット電力の公表値は事後の平均です。 同社は「全てのお客様が同じ単価になるものではございません」と明記しています。契約前に確定した単価はありません。

リボンエナジーの変動分の消費税の扱いは確定できていません。 税抜の市場価格をそのまま足す、同社に有利な置き方で計算しています。税を足すとさらに開きます。

2社の比較です。 基本料金0円をうたう会社は他にもあり、それぞれ定義が違う可能性があります。

東京エリアの単価です。 リボンエナジーはエリアごとに単価が異なると明記しています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金は両社とも別途かかります。 国が決める一律の単価で、どこと契約しても同じです。

燃料費調整単価そのものは、会社をまたいでは比べられません。 算定式も基準燃料価格も会社ごとに違うためです(燃料費調整単価の比較は意味がない。16.05円ずれた理由)。

情報は記載の取得日時点のものです。料金と適用条件は変わります。契約前に公式ページと約款で確認してください。


出典:リボンエナジー「料金メニュー(東京エリア)」および割引プログラム各ページ、ネット電力(SustainableEnergy株式会社)の料金ページおよび電気需給約款・電源調達費調整額の公表値、JEPX(日本卸電力取引所)スポット市場の約定結果、東京ガス「基本プラン」料金表(いずれも記載の取得日に取得)。

よくある質問

「基本料金0円」なら安いのですか?

基本料金の有無ではなく、1kWhあたりの合計で決まります。 今回比べた2社は、固定部分の合計が22.00円と28.20円(いずれも税込)で6.20円の差がありました。28.20円は、料金表の27.00円に単価表へ載っていない1.20円を足した額です。ところが市場に連動する部分まで足して同じ月でそろえると、2025年7月から2026年7月までの13か月すべてで、固定部分の高いネット電力のほうが低くなりました。差は4.53円〜10.58円です。

2社の変動部分は何が違うのですか?

リボンエナジーは市場価格そのものが乗ります。 公式ページに「変動従量料金の単価は、日本卸電力取引所が公表する30分ごとの市場価格(東京エリアプライス)が適用されます」とあり、単価は「0.01円〜」と表示されています。ネット電力は2つの基準価格を外れた分だけが乗ります。 東京エリアでは加算基準価格15.00円(税抜)を超えた分が足され、減算基準価格5.00円を下回った分が引かれます。その間では加算も減算もされません。

ネット電力は市場価格が下がれば引かれるのですか?

仕組みとしてはありますが、実績では起きていません。 同社が公表した電源調達費調整額の月平均13か月分(2025年7月分〜2026年7月分)は、いちばん低い月でも**+0.06円**(2025年12月)で、すべて加算側でした。市場価格そのものを見ても、JEPX東京エリアの月平均は丸1か月そろった17か月(2025年4月〜2026年8月)でいちばん低い月が11.17円(税抜・2025年12月と2026年2月)で、減算基準価格の5.00円を下回った月はありません。

リボンエナジーの割引はいくらですか?

7種類あり、全部で最大3.85円/kWh(税込)です。 マイホーム・ペット・オール電化・太陽光・蓄電池・EVの6つは各0.55円で、ファミリー割引だけは世帯人数に応じて0.11円〜0.55円の5段階です。3.85円はファミリー割引が最大の0.55円になった場合の額です。どの割引も申し込みと審査が要ります。

市場価格が高騰したらどうなりますか?

どちらも加算側に上限がありません。 リボンエナジーは変動単価に上限の記載が無く、ネット電力も加算側は上限なし(減算側だけ税抜4.00円が上限)です。なお上限が無いのはこの2社に限りません。 東京ガスの公式ページにも「燃料費調整の上限の設定はありません」と明記されています。上限があるのは大手電力の規制料金(従量電灯Bなど)の側です。