生活費の分岐点

電気代の地域差は月4,055円。同じ会社の同じプランで比較

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電気・ガス 公開 2026-10-23 データ取得 2026-09-06

同じプランなのに月 4,055円の差 新電力1社の同じプランを9エリアぶん取得して計算(月300kWh・30A相当・支援は含まない)

漫画でわかる全10コマ

この記事の計算を漫画にしました。コマは横に送って読めます。

説明漫画。同じ会社・同じプランでも、北海道と九州の差は月4,055円。13,323円−9,268円=4,055円
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漫画の中の数字の出典:1社の料金表を9エリアぶん取得して計算(本文でも同じ数字を使っています)

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この記事の根拠

  • 独自集計 同じ会社の同じプランでも、契約の単位が9エリアのうち3エリア(関西・中国・四国)で最低料金制になっている 小売電気事業者が公表する電気料金メニュー定義書PDFを9エリアぶん取得 / 2026-09-06取得
  • 独自集計 燃料費調整の基準燃料価格は北陸21,900円から中部45,900円まで開き、北海道と北陸には液化天然ガスの項が無い 同上の定義書PDF 別表1(燃料費調整) / 2026-09-06取得
  • 独自集計 公表されている貿易統計価格を各エリアの算式に入れると、9エリアのうち8エリアで公表の燃料費調整単価と一致する 同社が公表する2026年10月分の燃料費調整のお知らせと突き合わせ。合わなかった九州の0.19円は、同PDFの注記から離島ユニバーサルサービス調整単価の分と推定(差額からの推定) / 2026-09-06取得
  • 独自集計 月300kWh・30A相当の総額は九州9,268円から北海道13,323円まで、月4,055円・年48,660円の差になる 各エリアの定義書と公表の燃料費調整単価、全国一律の再エネ賦課金4.18円/kWhから計算 / 2026-09-06取得

データの取得方法と計算の方針

「電気代は地域で違う」とよく言われます。ただ、比べる相手が違う会社だと、地域の差なのか会社の差なのか分かりません。

そこで、9エリアすべてに同じプランを出している会社を1社選び、その料金表を9つとも取得しました。会社もプランも同じなので、残る差はエリアの違いだけになります。

契約の単位が、エリアで違う

最初に出てきたのは料金の額ではなく、契約の形そのものが違うことでした。

エリア 契約の単位 30A相当の基本料金 最初の段階
北海道 契約アンペア 1,190円 120kWhまで25.60円
東北 契約アンペア 1,093円 120kWhまで17.80円
東京 契約アンペア 873円 120kWhまで19.27円
中部 契約アンペア 949円 120kWhまで20.70円
北陸 契約アンペア 895円 120kWhまで19.50円
関西 最低料金制 372円 15kWhまで0円
中国 最低料金制 524円 15kWhまで0円
四国 最低料金制 552円 11kWhまで0円
九州 契約アンペア 934円 120kWhまで18.20円

関西・中国・四国の3エリアには、契約アンペアという考え方がありません。

1日あたりの定額があり、その中に最初の11〜15kWhまでの電力量料金が含まれます。基本料金が安く見えるのはそのためで、使った分の単価に織り込まれています。

この3エリアでは、「アンペアを下げて基本料金を減らす」という節約が成り立ちません。 契約アンペアを下げる案内を読んでも、該当する欄が請求書にありません。

段階の境目も違う

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エリア 段階の境目 第1段階 第2段階 第3段階
北海道 120kWh / 280kWh 25.60円 31.44円 32.80円
東北 120kWh / 300kWh 17.80円 23.60円 27.44円
東京 120kWh / 300kWh 19.27円 24.47円 27.86円
中部 120kWh / 300kWh 20.70円 24.50円 27.60円
北陸 120kWh / 300kWh 19.50円 23.74円 25.25円
関西 15kWh / 120kWh / 300kWh 21.38円 24.16円 28.00円
中国 15kWh / 120kWh / 300kWh 19.74円 24.93円 28.00円
四国 11kWh / 120kWh / 300kWh 20.73円 26.30円 29.80円
九州 120kWh / 300kWh 18.20円 23.00円 25.50円

境目の読み方:「120kWh / 300kWh」は、120kWhまでが第1段階、300kWhまでが第2段階、それを超えた分が第3段階という意味です。

この表の「第1段階」は、最低料金制の3エリアでは1つ前の表と別の帯を指しています。 関西・中国・四国は、最初の15kWh(四国は11kWh)までが最低料金に含まれる帯で、1つ前の表の「最初の段階」はそちらです。この表の第1段階は、その次の帯(関西なら15kWh超〜120kWh)の単価です。アンペア制の6エリアでは、2つの表の「最初の段階」と「第1段階」は同じものです。

300kWhが境目になっていないのは北海道だけです。 280kWhで最上位の段階に入ります。281kWh目から最上位の単価がかかる計算です。

第1段階の単価も、東北17.80円から北海道25.60円まで開きます。北海道は1kWh目から、東北の2段階目を超える単価で始まります。

燃料費調整の算定式も、エリアで違う

同じ会社なのに、燃料費調整の計算に使う3つの数字がエリアごとに定められています。会社どうしで燃料費調整単価を並べても比べられない理由は燃料費調整単価の比較、同じ月に会社で16.05円ずれるに書きました。

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エリア 原油 LNG 石炭 基準燃料価格 基準単価
北海道 0.4699 項が無い 0.7879 37,200円 0.197円
東北 0.1152 0.2714 0.7386 31,400円 0.221円
東京 0.1970 0.4435 0.2512 44,200円 0.232円
中部 0.0275 0.4792 0.4275 45,900円 0.233円
北陸 0.2303 項が無い 1.1441 21,900円 0.161円
関西 0.0140 0.3483 0.7227 27,100円 0.165円
中国 0.1543 0.1322 0.9761 26,000円 0.245円
四国 0.2104 0.0541 1.0588 26,000円 0.196円
九州 0.0053 0.1861 1.0757 27,400円 0.136円

基準燃料価格は北陸21,900円から中部45,900円まで、2.10倍の開きがあります。

北海道と北陸のエリアには、液化天然ガスの項そのものがありません。 原油と石炭の2項だけで平均燃料価格を出します。エリアの電源構成が式に反映されているためです。

つまり、同じ月・同じ会社でも、LNG価格が動いたときに反応するエリアとしないエリアがあります。

公表値を再現して、算式を確かめた

この表が本当にそのとおり使われているかを、同社が公表している2026年10月分の燃料費調整のお知らせと突き合わせました。同じ貿易統計価格を、9エリアそれぞれの算式に入れます。

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エリア 平均燃料価格(計算) 公表 燃調単価(計算) 公表 一致
北海道 73,100円 73,100円 +7.07円 +7.07円 ○
東北 57,900円 57,900円 +5.86円 +5.86円 ○
東京 73,300円 73,300円 +6.75円 +6.75円 ○
中部 61,300円 61,300円 +3.59円 +3.59円 ○
北陸 53,600円 53,600円 +5.10円 +5.10円 ○
関西 53,500円 53,500円 +4.36円 +4.36円 ○
中国 54,100円 54,100円 +6.88円 +6.88円 ○
四国 54,700円 54,700円 +5.63円 +5.63円 ○
九州 44,500円 44,500円 +2.33円 +2.52円 ×

9エリア中8エリアで、公表値と完全に一致しました。

合わなかった九州は、公表2.52円 − 計算2.33円 = 0.19円の差です。同じPDFに「九州電力エリアの単価には離島ユニバーサルサービス調整単価を含む。」と注記があるので、この0.19円はその分だと推定しています。離島分の単価そのものは書かれていないため、差額からの推定です。

同じ貿易統計から出発して、算式だけで計算した単価が+2.33円から+7.07円まで4.74円開きます。エリアの算式が違うだけで、これだけ変わります。

月300kWhの総額

九州 九州: 9,268円 9,268円 関西 関西: 9,528円 9,528円 中部 中部: 10,174円 10,174円 北陸 北陸: 10,292円 10,292円 中国 中国: 10,402円 10,402円 四国 四国: 10,489円 10,489円 東北 東北: 10,489円 10,489円 東京 東京: 10,869円 10,869円 北海道 北海道: 13,323円 13,323円
オクトパスエナジー「グリーンオクトパス 2026-04」を9エリアで並べた月額(月300kWh・30A相当・30日・基本料金+電力量料金+燃料費調整+再エネ賦課金、すべて税込)。最安と最高で月4,055円、年48,660円の差。同じ会社の同じプランなので、差はすべてエリアの違いによる。各エリアの電気料金メニュー定義書PDFから算出。

30A相当・30日・税込。基本料金+電力量料金+燃料費調整+再エネ賦課金の合計です。燃料費調整は、請求に使われる公表単価で計算しました(九州は離島分を含む2.52円)。

政府の電気・ガス料金支援は含んでいません。 この会社は支援を電気料金の総額から割り引く方式で、2026年10月検針・請求分には3.50円/kWhの割引単価が出ています(月300kWhなら1,050円)。支援は2026年9月使用分で終わるので、下の額は請求11月分からの姿です。10月分の請求では、どのエリアも一律で1,050円低くなります(差の4,055円は変わりません)。

同じ月300kWhでも、当サイトの記事で額が違うのはこのためです。電気代の内訳は4行は支援込みの9,387円(東京ガス・請求10月分)、北海道電力の料金は1kWh目から35.69円は支援後の12,009円です。支援を含むか含まないかと、どの会社かを、そろえずに比べないでください。

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エリア 基本料金 電力量料金 燃料費調整 再エネ賦課金 合計
九州 934円 6,324円 756円 1,254円 9,268円
関西 372円 6,594円 1,308円 1,254円 9,528円
中部 949円 6,894円 1,077円 1,254円 10,174円
北陸 895円 6,613円 1,530円 1,254円 10,292円
中国 524円 6,560円 2,064円 1,254円 10,402円
四国 552円 6,994円 1,689円 1,254円 10,489円
東北 1,093円 6,384円 1,758円 1,254円 10,489円
東京 873円 6,717円 2,025円 1,254円 10,869円
北海道 1,190円 8,758円 2,121円 1,254円 13,323円

最安の九州9,268円と、最高の北海道13,323円で月4,055円。年にすると48,660円、倍率で1.44倍です。

再エネ賦課金の1,254円だけが全9エリアで同じです。全国一律なので、ここは差になりません(電気代の内訳は4行。うち1行は乗り換えても下がらない)。

使用量を変えると順位が入れ替わる

300kWh以外の額も、同じ式で出しました(基本料金+段階ごとの単価×使用量+燃料費調整×使用量+再エネ賦課金×使用量。支援は含みません)。計算は scripts/watch/area.mjs です。

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使用量 1位 2位 3位 最高
100kWh 関西 3,043円 中国 3,308円 四国 3,378円 北海道 4,875円
200kWh 関西 6,258円 九州 6,298円 中国 6,803円 北海道 9,027円
300kWh 九州 9,268円 関西 9,528円 中部 10,174円 北海道 13,323円
400kWh 九州 12,488円 関西 13,182円 中部 13,711円 北海道 17,728円
500kWh 九州 15,708円 関西 16,836円 北陸 17,198円 北海道 22,133円

200kWhと300kWhの間で、関西と九州が入れ替わります。 関西は最低料金制で基本料金にあたる部分が薄いため、使用量が少ない帯で有利です。使用量が増えると単価の差が効いてきて、九州が前に出ます。

200kWhでの差はわずか40円でした。「どちらが安いか」は使用量を決めないと答えが出ません。

この記事の限界

新電力1社の1プランでの比較です。 大手電力の規制料金(従量電灯など)では、単価も段階も違います。ここで示したのは同じ商品がエリアでどれだけ変わるかで、各エリアの相場ではありません。

大手電力の料金表は、北海道電力の従量電灯Bを除いて取得できていません。 北海道電力の分は北海道電力の料金は1kWh目から35.69円で取得しましたが、複数社の公式ページが、実クローラのUAに403を返します。ブラウザを名乗って回避することはしていません。

使用量が同じ場合の比較です。 寒冷地では暖房や給湯で使用量そのものが増えますが、地域別の使用量のデータは取得していません。使用量の違いを入れた請求額の差がどうなるかは、このデータでは分かりません。

基本料金は日額なので30日として揃えました。 31日の月は各エリアとも1日ぶん増えます。

燃料費調整単価は月ごとに変わります。 3か月前の貿易統計価格から算定されるため、順位も変わり得ます。ここで使ったのは2026年10月分です。

引っ越し先を料金で選べるわけではありません。 エリアは住所で決まります。この記事で分かるのは、「電気代が安くなる」と書かれた記事は、どのエリアの料金表で計算したかを見ないと当てにならないという点です。


出典:小売電気事業者が公表する電気料金メニュー定義書(9エリアぶん)、および同社が公表する2026年10月分の燃料費調整のお知らせ。いずれも公式の公表資料。

よくある質問

電気代の地域差はどのくらいですか?

同じ会社の同じプランで、月300kWhなら4,055円でした。 最安が九州電力エリアの9,268円、最高が北海道電力エリアの13,323円です。年にすると48,660円、倍率で1.44倍になります。基本料金・電力量料金・燃料費調整・再エネ賦課金をすべて含んだ額です。政府の電気・ガス料金支援は含んでいません。 この会社は支援を総額から割り引く方式で、2026年10月検針・請求分は3.50円/kWh(月300kWhで1,050円)です。支援は9月使用分で終わるので、上の額は請求11月分からの姿になります。

なぜ同じ会社なのにエリアで違うのですか?

料金表そのものがエリアごとに作られているためです。 契約の単位(契約アンペア制か最低料金制か)、段階の境目、単価、燃料費調整の換算係数・基準燃料価格・基準単価が、すべてエリア別に定められています。同じ会社の同じプラン名でも、中身は9通りあります。

契約アンペアを下げれば安くなりますか?

エリアによります。 関西・中国・四国のエリアは最低料金制で、契約アンペアという概念がありません。1日あたりの定額があり、最初の11〜15kWhまでの電力量料金がそこに含まれます。この3エリアでは、アンペアを下げて基本料金を減らすという節約が成り立ちません。

燃料費調整の基準燃料価格はエリアでどのくらい違いますか?

北陸電力エリアの21,900円から、中部電力エリアの45,900円まで、2.10倍の開きがあります。 換算係数も違い、北海道と北陸のエリアには液化天然ガスの項そのものがありません。原油と石炭の2項だけで平均燃料価格を出します。