電気代の地域差は月4,055円。同じ会社の同じプランで比較
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漫画でわかる全10コマ
この記事の計算を漫画にしました。コマは横に送って読めます。










漫画の中の数字の出典:1社の料金表を9エリアぶん取得して計算(本文でも同じ数字を使っています)
この記事の根拠
- 独自集計 同じ会社の同じプランでも、契約の単位が9エリアのうち3エリア(関西・中国・四国)で最低料金制になっている
- 独自集計 燃料費調整の基準燃料価格は北陸21,900円から中部45,900円まで開き、北海道と北陸には液化天然ガスの項が無い
- 独自集計 公表されている貿易統計価格を各エリアの算式に入れると、9エリアのうち8エリアで公表の燃料費調整単価と一致する
- 独自集計 月300kWh・30A相当の総額は九州9,268円から北海道13,323円まで、月4,055円・年48,660円の差になる
「電気代は地域で違う」とよく言われます。ただ、比べる相手が違う会社だと、地域の差なのか会社の差なのか分かりません。
そこで、9エリアすべてに同じプランを出している会社を1社選び、その料金表を9つとも取得しました。会社もプランも同じなので、残る差はエリアの違いだけになります。
契約の単位が、エリアで違う
最初に出てきたのは料金の額ではなく、契約の形そのものが違うことでした。
| エリア | 契約の単位 | 30A相当の基本料金 | 最初の段階 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 契約アンペア | 1,190円 | 120kWhまで25.60円 |
| 東北 | 契約アンペア | 1,093円 | 120kWhまで17.80円 |
| 東京 | 契約アンペア | 873円 | 120kWhまで19.27円 |
| 中部 | 契約アンペア | 949円 | 120kWhまで20.70円 |
| 北陸 | 契約アンペア | 895円 | 120kWhまで19.50円 |
| 関西 | 最低料金制 | 372円 | 15kWhまで0円 |
| 中国 | 最低料金制 | 524円 | 15kWhまで0円 |
| 四国 | 最低料金制 | 552円 | 11kWhまで0円 |
| 九州 | 契約アンペア | 934円 | 120kWhまで18.20円 |
関西・中国・四国の3エリアには、契約アンペアという考え方がありません。
1日あたりの定額があり、その中に最初の11〜15kWhまでの電力量料金が含まれます。基本料金が安く見えるのはそのためで、使った分の単価に織り込まれています。
この3エリアでは、「アンペアを下げて基本料金を減らす」という節約が成り立ちません。 契約アンペアを下げる案内を読んでも、該当する欄が請求書にありません。
段階の境目も違う
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| エリア | 段階の境目 | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 120kWh / 280kWh | 25.60円 | 31.44円 | 32.80円 |
| 東北 | 120kWh / 300kWh | 17.80円 | 23.60円 | 27.44円 |
| 東京 | 120kWh / 300kWh | 19.27円 | 24.47円 | 27.86円 |
| 中部 | 120kWh / 300kWh | 20.70円 | 24.50円 | 27.60円 |
| 北陸 | 120kWh / 300kWh | 19.50円 | 23.74円 | 25.25円 |
| 関西 | 15kWh / 120kWh / 300kWh | 21.38円 | 24.16円 | 28.00円 |
| 中国 | 15kWh / 120kWh / 300kWh | 19.74円 | 24.93円 | 28.00円 |
| 四国 | 11kWh / 120kWh / 300kWh | 20.73円 | 26.30円 | 29.80円 |
| 九州 | 120kWh / 300kWh | 18.20円 | 23.00円 | 25.50円 |
境目の読み方:「120kWh / 300kWh」は、120kWhまでが第1段階、300kWhまでが第2段階、それを超えた分が第3段階という意味です。
この表の「第1段階」は、最低料金制の3エリアでは1つ前の表と別の帯を指しています。 関西・中国・四国は、最初の15kWh(四国は11kWh)までが最低料金に含まれる帯で、1つ前の表の「最初の段階」はそちらです。この表の第1段階は、その次の帯(関西なら15kWh超〜120kWh)の単価です。アンペア制の6エリアでは、2つの表の「最初の段階」と「第1段階」は同じものです。
300kWhが境目になっていないのは北海道だけです。 280kWhで最上位の段階に入ります。281kWh目から最上位の単価がかかる計算です。
第1段階の単価も、東北17.80円から北海道25.60円まで開きます。北海道は1kWh目から、東北の2段階目を超える単価で始まります。
燃料費調整の算定式も、エリアで違う
同じ会社なのに、燃料費調整の計算に使う3つの数字がエリアごとに定められています。会社どうしで燃料費調整単価を並べても比べられない理由は燃料費調整単価の比較、同じ月に会社で16.05円ずれるに書きました。
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| エリア | 原油 | LNG | 石炭 | 基準燃料価格 | 基準単価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 0.4699 | 項が無い | 0.7879 | 37,200円 | 0.197円 |
| 東北 | 0.1152 | 0.2714 | 0.7386 | 31,400円 | 0.221円 |
| 東京 | 0.1970 | 0.4435 | 0.2512 | 44,200円 | 0.232円 |
| 中部 | 0.0275 | 0.4792 | 0.4275 | 45,900円 | 0.233円 |
| 北陸 | 0.2303 | 項が無い | 1.1441 | 21,900円 | 0.161円 |
| 関西 | 0.0140 | 0.3483 | 0.7227 | 27,100円 | 0.165円 |
| 中国 | 0.1543 | 0.1322 | 0.9761 | 26,000円 | 0.245円 |
| 四国 | 0.2104 | 0.0541 | 1.0588 | 26,000円 | 0.196円 |
| 九州 | 0.0053 | 0.1861 | 1.0757 | 27,400円 | 0.136円 |
基準燃料価格は北陸21,900円から中部45,900円まで、2.10倍の開きがあります。
北海道と北陸のエリアには、液化天然ガスの項そのものがありません。 原油と石炭の2項だけで平均燃料価格を出します。エリアの電源構成が式に反映されているためです。
つまり、同じ月・同じ会社でも、LNG価格が動いたときに反応するエリアとしないエリアがあります。
公表値を再現して、算式を確かめた
この表が本当にそのとおり使われているかを、同社が公表している2026年10月分の燃料費調整のお知らせと突き合わせました。同じ貿易統計価格を、9エリアそれぞれの算式に入れます。
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| エリア | 平均燃料価格(計算) | 公表 | 燃調単価(計算) | 公表 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 73,100円 | 73,100円 | +7.07円 | +7.07円 | ○ |
| 東北 | 57,900円 | 57,900円 | +5.86円 | +5.86円 | ○ |
| 東京 | 73,300円 | 73,300円 | +6.75円 | +6.75円 | ○ |
| 中部 | 61,300円 | 61,300円 | +3.59円 | +3.59円 | ○ |
| 北陸 | 53,600円 | 53,600円 | +5.10円 | +5.10円 | ○ |
| 関西 | 53,500円 | 53,500円 | +4.36円 | +4.36円 | ○ |
| 中国 | 54,100円 | 54,100円 | +6.88円 | +6.88円 | ○ |
| 四国 | 54,700円 | 54,700円 | +5.63円 | +5.63円 | ○ |
| 九州 | 44,500円 | 44,500円 | +2.33円 | +2.52円 | × |
9エリア中8エリアで、公表値と完全に一致しました。
合わなかった九州は、公表2.52円 − 計算2.33円 = 0.19円の差です。同じPDFに「九州電力エリアの単価には離島ユニバーサルサービス調整単価を含む。」と注記があるので、この0.19円はその分だと推定しています。離島分の単価そのものは書かれていないため、差額からの推定です。
同じ貿易統計から出発して、算式だけで計算した単価が+2.33円から+7.07円まで4.74円開きます。エリアの算式が違うだけで、これだけ変わります。
月300kWhの総額
30A相当・30日・税込。基本料金+電力量料金+燃料費調整+再エネ賦課金の合計です。燃料費調整は、請求に使われる公表単価で計算しました(九州は離島分を含む2.52円)。
政府の電気・ガス料金支援は含んでいません。 この会社は支援を電気料金の総額から割り引く方式で、2026年10月検針・請求分には3.50円/kWhの割引単価が出ています(月300kWhなら1,050円)。支援は2026年9月使用分で終わるので、下の額は請求11月分からの姿です。10月分の請求では、どのエリアも一律で1,050円低くなります(差の4,055円は変わりません)。
同じ月300kWhでも、当サイトの記事で額が違うのはこのためです。電気代の内訳は4行は支援込みの9,387円(東京ガス・請求10月分)、北海道電力の料金は1kWh目から35.69円は支援後の12,009円です。支援を含むか含まないかと、どの会社かを、そろえずに比べないでください。
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| エリア | 基本料金 | 電力量料金 | 燃料費調整 | 再エネ賦課金 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 九州 | 934円 | 6,324円 | 756円 | 1,254円 | 9,268円 |
| 関西 | 372円 | 6,594円 | 1,308円 | 1,254円 | 9,528円 |
| 中部 | 949円 | 6,894円 | 1,077円 | 1,254円 | 10,174円 |
| 北陸 | 895円 | 6,613円 | 1,530円 | 1,254円 | 10,292円 |
| 中国 | 524円 | 6,560円 | 2,064円 | 1,254円 | 10,402円 |
| 四国 | 552円 | 6,994円 | 1,689円 | 1,254円 | 10,489円 |
| 東北 | 1,093円 | 6,384円 | 1,758円 | 1,254円 | 10,489円 |
| 東京 | 873円 | 6,717円 | 2,025円 | 1,254円 | 10,869円 |
| 北海道 | 1,190円 | 8,758円 | 2,121円 | 1,254円 | 13,323円 |
最安の九州9,268円と、最高の北海道13,323円で月4,055円。年にすると48,660円、倍率で1.44倍です。
再エネ賦課金の1,254円だけが全9エリアで同じです。全国一律なので、ここは差になりません(電気代の内訳は4行。うち1行は乗り換えても下がらない)。
使用量を変えると順位が入れ替わる
300kWh以外の額も、同じ式で出しました(基本料金+段階ごとの単価×使用量+燃料費調整×使用量+再エネ賦課金×使用量。支援は含みません)。計算は scripts/watch/area.mjs です。
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| 使用量 | 1位 | 2位 | 3位 | 最高 |
|---|---|---|---|---|
| 100kWh | 関西 3,043円 | 中国 3,308円 | 四国 3,378円 | 北海道 4,875円 |
| 200kWh | 関西 6,258円 | 九州 6,298円 | 中国 6,803円 | 北海道 9,027円 |
| 300kWh | 九州 9,268円 | 関西 9,528円 | 中部 10,174円 | 北海道 13,323円 |
| 400kWh | 九州 12,488円 | 関西 13,182円 | 中部 13,711円 | 北海道 17,728円 |
| 500kWh | 九州 15,708円 | 関西 16,836円 | 北陸 17,198円 | 北海道 22,133円 |
200kWhと300kWhの間で、関西と九州が入れ替わります。 関西は最低料金制で基本料金にあたる部分が薄いため、使用量が少ない帯で有利です。使用量が増えると単価の差が効いてきて、九州が前に出ます。
200kWhでの差はわずか40円でした。「どちらが安いか」は使用量を決めないと答えが出ません。
この記事の限界
新電力1社の1プランでの比較です。 大手電力の規制料金(従量電灯など)では、単価も段階も違います。ここで示したのは同じ商品がエリアでどれだけ変わるかで、各エリアの相場ではありません。
大手電力の料金表は、北海道電力の従量電灯Bを除いて取得できていません。 北海道電力の分は北海道電力の料金は1kWh目から35.69円で取得しましたが、複数社の公式ページが、実クローラのUAに403を返します。ブラウザを名乗って回避することはしていません。
使用量が同じ場合の比較です。 寒冷地では暖房や給湯で使用量そのものが増えますが、地域別の使用量のデータは取得していません。使用量の違いを入れた請求額の差がどうなるかは、このデータでは分かりません。
基本料金は日額なので30日として揃えました。 31日の月は各エリアとも1日ぶん増えます。
燃料費調整単価は月ごとに変わります。 3か月前の貿易統計価格から算定されるため、順位も変わり得ます。ここで使ったのは2026年10月分です。
引っ越し先を料金で選べるわけではありません。 エリアは住所で決まります。この記事で分かるのは、「電気代が安くなる」と書かれた記事は、どのエリアの料金表で計算したかを見ないと当てにならないという点です。
出典:小売電気事業者が公表する電気料金メニュー定義書(9エリアぶん)、および同社が公表する2026年10月分の燃料費調整のお知らせ。いずれも公式の公表資料。