生活費の分岐点

新電力1社の総額が、月264円高かった

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電気・ガス 公開 2026-10-05 データ取得 2026-09-17

単価が安いほうが月 264円高い 北海道エリア・30A・月300kWh・2026年10月分

漫画でわかる全12コマ

この記事の計算を漫画にしました。コマは横に送って読めます。

説明漫画。単価がぜんぶ安い新電力のほうが月264円高い。13,323円−13,059円=264円
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漫画の中の数字の出典:北海道・300kWh・30A・2026年10月分・値引き前(本文でも同じ数字を使っています)

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この記事の根拠

  • 独自集計 北海道電力 従量電灯Bの2026年10月分の燃料費等調整単価として公表されている−8.04円/kWhは政府支援3.50円を引いた後の値で、支援前は−4.54円。同じエリアの新電力の+7.07円(支援前)と符号が逆になっている 北海道電力株式会社「電気料金早見表(2026年10月分料金適用)」PDFの算定諸元欄と、同社の電気・ガス料金負担軽減支援のページ / 2026-09-17取得
  • 独自集計 東京ガスの基準燃料価格86,100円は、同じ東京エリアの新電力の44,200円の1.95倍にあたる 東京ガス株式会社「燃料費調整制度」ページに掲載の算式と、新電力の電気料金メニュー定義書 / 2026-09-07取得
  • 独自集計 電力量料金の単価は全6段階で新電力のほうが10.09〜12.90円安いのに、月300kWhの総額(政府支援を引く前どうし)では北海道264円・東京432円だけ大手のほうが安い 両社の料金表と2026年10月分の燃料費調整単価、全国一律の再エネ賦課金4.18円/kWhから計算 / 2026-09-07取得
  • 独自集計 公表単価(支援後)で計算した北海道電力の総額は、同社が公表する早見表の150kWh 6,217円・300kWh 12,009円と一致する 同PDFの電気料金早見表(30A欄)と突き合わせ / 2026-09-07取得

データの取得方法と計算の方針

電気の乗り換えをすすめる案内は、たいてい単価の安さを根拠にします。1kWhあたりが何円安い、基本料金がいくら安い、という形です。

その根拠のとおりに単価が安い会社を選んで、1か月ぶんの請求額を最後まで計算すると、高くなりました。

月300kWhで、北海道エリアは月264円、東京エリアは月432円です。

単価だけを並べると、新電力が全段階で安い

比べたのは、同じエリアの2社です。北海道エリアは北海道電力の従量電灯Bと、ある新電力の標準プラン。東京エリアは東京ガスの基本プランと、同じ新電力の同じプランです。

まず電力量料金の単価を並べます。

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エリア 段階 大手・都市ガス系 新電力 差
北海道 第1段階 35.69円 25.60円 10.09円安い
北海道 第2段階 41.98円 31.44円 10.54円安い
北海道 第3段階 45.70円 32.80円 12.90円安い
東京 第1段階 29.70円 19.27円 10.43円安い
東京 第2段階 35.69円 24.47円 11.22円安い
東京 第3段階 39.50円 27.86円 11.64円安い

6段階すべてで、新電力のほうが10円以上安いです。

基本料金も同じ向きです。30A・30日で、北海道電力1,254円に対して新電力1,190円。東京ガス935円に対して873円。

ここまでの材料だけなら、乗り換えたほうが安くなります。

総額を出すと、向きが変わる

1か月の請求額は、この4つの合計です。

  1. 基本料金
  2. 電力量料金
  3. 燃料費調整額
  4. 再生可能エネルギー発電促進賦課金

4は全国一律で4.18円/kWh、どちらの会社でも同じです。差がつくのは3でした。

2026年10月分(9月使用分)は、政府の電気・ガス料金支援で1kWhあたり3.50円が値引きされます。ここで会社ごとに引き方が違います。北海道電力は燃料費調整単価から支援を引いた値を公表し、新電力は総額から引きます。そのまま並べると片方だけ値引きが入るので、下の表は両社とも支援を引く前にそろえました。 月額は1円未満を切り捨てています(北海道電力の早見表と同じ扱い)。差は表の月額どうしの引き算です。

北海道エリア(30A・30日・政府支援を引く前)

使用量 北海道電力 従量電灯B 新電力 差
100kWh 4,787円 4,874円 +87円
150kWh 6,742円 6,892円 +150円
200kWh 8,823円 9,027円 +204円
250kWh 10,904円 11,161円 +257円
300kWh 13,059円 13,323円 +264円
400kWh 17,593円 17,728円 +135円
500kWh 22,127円 22,133円 +6円

表の使用量では、支援後どうしでも差は変わりません。両社から同じ3.50円/kWhが引かれるためです(1円未満を切り捨てるので、使用量によっては1円ずれることがあります)。300kWhなら北海道電力12,009円、新電力12,273円で、差は264円です。

東京エリア(30A・30日・政府支援を引く前)

使用量 東京ガス 基本プラン 新電力 差
100kWh 3,743円 3,893円 +150円
150kWh 5,326円 5,559円 +233円
200kWh 7,030円 7,329円 +299円
250kWh 8,733円 9,099円 +366円
300kWh 10,437円 10,869円 +432円
400kWh 14,225円 14,748円 +523円
500kWh 18,013円 18,627円 +614円

東京エリアは使うほど差が開きます。 北海道エリアは1kWh刻みで計算すると280kWhの290円がいちばん大きく、そこから縮んで500kWhでは6円です。理由は次の燃料費調整の節で説明します。

月300kWhを1年つづけると、北海道エリアで264円×12か月=3,168円、東京エリアで432円×12か月=5,184円の差になります。

逆転しているのは燃料費調整

2026年10月分の燃料費調整単価を、政府支援を引く前の値で並べます。新電力は公表値です。北海道電力は公表値−8.04円に支援3.50円を足し戻した値です。東京ガスは公表単価を手元に持っていないため、公式ページに載っている算式に、この新電力が公表した同じ月の貿易統計価格を入れて出した計算値です。

会社 エリア 燃料費調整単価
北海道電力 従量電灯B 北海道 −4.54円(公表値−8.04円は支援後)
新電力 北海道 +7.07円
東京ガス 基本プラン 東京 −5.80円(計算値)
新電力 東京 +6.75円

符号が逆です。 北海道エリアでは1kWhあたり11.61円、東京エリアでは12.55円の差がここで生まれます。

東京エリアでは、この差が電力量料金の単価の差(10.43〜11.64円)を全段階で上回りました。だから使うほど差が開きます。

北海道エリアでは、第1段階の差(10.09円)と第2段階の差(10.54円)は上回りますが、第3段階の差(12.90円)には届きません。北海道電力は280kWhを超えると第3段階に入るので、そこからは1kWhごとに新電力が差を詰めます。北海道で差が280kWhで最大になり、500kWhで6円まで縮むのはこのためです。

基準燃料価格が会社ごとに違う

燃料費調整単価は、この式で決まります。

燃料費調整単価 =(平均燃料価格 − 基準燃料価格)× 基準単価 ÷ 1,000

平均燃料価格は原油・LNG・石炭の貿易統計価格から出します。入れる貿易統計価格は同じ月なら同じですが、どの燃料をどれだけの重み(換算係数)で足すかは会社ごとに違います。 差がつくのは、その換算係数と、そこから引く基準燃料価格です。

東京エリアの2社を並べます。

東京ガス 基本プラン 新電力
基準燃料価格 86,100円 44,200円
基準単価 0.183円 0.232円
平均燃料価格(2026年10月分) 54,400円(計算値) 73,300円(公表値)
燃料費調整単価 −5.80円(計算値) +6.75円(公表値)

基準燃料価格が1.95倍ちがいます。 同じエリアの同じ月なのに、引き算の基準が倍近く違うので、片方はマイナス調整、もう片方はプラス調整になります。

換算係数も違います。東京ガスは平均燃料価格を「原油0.0048・LNG0.3827・石炭0.6584」で出し、新電力は「原油0.197・LNG0.4435・石炭0.2512」で出します。原油の係数が約41倍ちがい、東京ガスは原油をほとんど入れていません。同じ貿易統計価格を入れても、平均燃料価格が54,400円と73,300円に分かれます(石炭の係数は東京ガスが2.6倍大きく、こちらは差を縮める向きに効きます)。

燃料費調整単価だけを並べて比べる案内は、この時点で意味を失います。

新電力のほうが安いのは何kWhまでか

1kWh刻みで、表と同じく1円未満を切り捨てた月額で比べました(北海道は政府支援を引く前どうし)。

  • 北海道エリア:月41kWhまでと、月505kWh以上。 42kWhで同額になり、43〜504kWhは北海道電力のほうが安くなります。41kWh時点での差は2円、505kWh時点での差は1円です
  • 東京エリア:月29kWhまで。 30kWhからは東京ガスのほうが安くなります。29kWh時点での差は1円です

少ないほうの境目は、どちらも、このサイトで比較の基準に使っている月300kWhの2割に届きません。基本料金が安いぶん、ほとんど使わない月だけ有利になる、という構造です。北海道の505kWh以上は、上で書いた第3段階の単価差によるものです。

計算が合っているかを、会社の公表資料で確かめた

北海道電力は、単価表と同じPDFに電気料金早見表を載せています。1kWh刻みで、契約アンペア別の請求額が入った表です。

早見表は政府支援を引いた後の請求額なので、公表単価−8.04円で計算して突き合わせました。

使用量 こちらの計算 北海道電力が公表した早見表
150kWh 6,217.20円(切り捨て6,217円) 6,217円
300kWh 12,009.60円(切り捨て12,009円) 12,009円

一致しました。 早見表は1円未満を切り捨てており、上の表の月額も同じく切り捨てにしています。基本料金・電力量料金・燃料費等調整額・再エネ賦課金の積み上げ方が、会社の公表値と同じであることの確認です。上の比較表は、この計算に1kWhあたり3.50円を足し戻した支援前の値です。

確かめるところ

いま契約している会社と、勧められた会社の両方の料金表から、この4つを拾ってください。

  1. 基準燃料価格(円/kl)。低い会社ほど、燃料が高い局面ではプラス調整が大きくなります
  2. 基準単価(円)。差額に掛ける係数です
  3. 平均燃料価格の換算係数。原油・LNG・石炭をどの重みで足すかで、同じ貿易統計価格でも平均燃料価格が変わります
  4. 燃料費調整の上限があるか。上限とは、計算に使う平均燃料価格に上限を設けることで、燃料価格が高騰しても調整額がそれ以上は増えません。大手電力の規制料金には上限があります。自由料金のメニューには無いものがあります

政府支援が入っている月は、公表されている燃料費調整単価が支援を引いた後の値かも確かめてください。引いた後の単価と、支援を総額から引く会社の単価を並べると、片方だけ値引きが入ります。

そのうえで、自分の使用量で1か月ぶんの総額を出して比べます。 検針票に載っている使用電力量(kWh)を、両社の料金表に入れるだけです。

単価の比較表だけで判断すると、向きや差の大きさを取り違えます。

この記事の条件

  • 2026年10月分の料金です。 燃料費調整単価は毎月変わります。燃料価格が下がって平均燃料価格が下がれば、基準燃料価格の低い会社のプラス調整は小さくなり、差は縮みます
  • 比べたのは各社1プランずつです。 北海道電力には自由料金のメニューが別にあり、単価が違います。新電力にも他のプランがあります
  • 30A・30日で計算しました。 新電力の基本料金は1日あたりの単価なので、31日ある月はもう少し高くなります
  • 2026年10月分(9月使用分)は政府の電気・ガス料金支援の対象です。 表は支援を引く前どうしで比べています。支援後の請求額は、両社とも1kWhあたり3.50円低くなります
  • 北海道電力の支援前の燃料費調整単価(−4.54円)は、公表値−8.04円に同社の支援のページにある値引き単価3.50円を足し戻した値です

よくある質問

新電力に替えると安くなりますか?

2026年10月分の月300kWhでは、計算した2組とも大手のほうが安くなりました。 月300kWhで政府支援を引く前どうしにそろえると、北海道エリアは北海道電力13,059円に対して新電力13,323円、東京エリアは東京ガス10,437円に対して10,869円です。北海道エリアを支援後どうしで比べても、12,009円と12,273円で差は同じ264円です。電力量料金の単価は新電力のほうが安いのに、燃料費調整で逆転します。

なぜ単価が安いのに総額で高くなるのですか?

燃料費調整単価の符号が逆になるためです。 燃料費調整単価は「平均燃料価格 − 基準燃料価格」で決まります。この基準燃料価格が会社ごとに違い、東京エリアでは東京ガスが86,100円、新電力が44,200円でした。基準が低い会社ほど、燃料が高い局面ではプラス調整が大きくなります。

燃料費調整単価だけを見て比べてはいけないのですか?

比べられません。 換算係数・基準燃料価格・基準単価が会社ごとに違うので、同じ月・同じエリアでも符号が逆になります。2026年10月分では、政府支援を引く前の値で北海道電力が−4.54円、同じエリアの新電力が+7.07円でした。しかも北海道電力が公表している−8.04円は支援3.50円を単価から引いた後の値で、新電力は支援を総額から引きます。比べられるのは、支援の扱いをそろえた1か月ぶんの総額だけです。

どのくらい使うと逆転しますか?

東京エリアは月30kWhから、北海道エリアは月43kWhから大手のほうが安くなります。 それ未満なら新電力のほうが安いものの、東京で29kWh使ったときの差は1円、北海道で41kWh使ったときの差は2円です。北海道エリアは多く使うと向きがもう一度変わり、月505kWh以上では新電力のほうが安くなります(505kWhで1円)。