通信費の平均が調べ方で倍ちがう理由
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この記事の根拠
- 独自集計 家計調査の中分類「通信」には運送料(宅配便・引越代)と携帯電話機(端末本体)が含まれ、インターネット接続料は含まれない(大分類「教養娯楽」配下)
- 独自集計 総務省の利用者意識調査では平均5,824.8円に対し、累積分布から中央値は4,001〜5,000円の階級に入り、平均が中央値を825〜1,824円上回る
「スマホ代の平均」「通信費の平均」を統計で調べると、どの調査のどの数字を見るかで、まるで違う額が出てきます。
公的統計だけでも、測っているもの(世帯か個人か、何を含むか)が違います。 4つの公的統計の定義を確認して、何がどう違うのかを整理しました。
4つの統計が測っているもの
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| 調査 | 単位 | 値(時点) | 端末代 | ネット接続料 |
|---|---|---|---|---|
| 家計調査「通信」 | 世帯(二人以上) | 11,661円(2025年平均) | 含む | 含まない |
| 家計消費状況調査 | 世帯(二人以上) | 11,464円(2025年平均) | 含まない | 含まない |
| 利用者意識調査 | 個人 | 5,824.8円(2021年3月) | 含む | — |
| 内外価格差調査 | 1回線 | モデル料金(令和7年12月時点) | 含まない | — |
世帯単位と個人単位が混在しています。 世帯には複数人の回線が含まれるので、一人あたりの額とは比べられません。
家計調査の「通信」には宅配便代が入っている
家計調査の中分類「通信」に含まれるのは、次の6品目です。
| 「通信」に含まれる | 「通信」に含まれない |
|---|---|
| 郵便料 | インターネット接続料 |
| 固定電話通信料 | |
| 携帯電話通信料 | |
| 運送料(宅配便・引越代) | |
| 携帯電話機(端末本体) | |
| 他の通信機器 |
宅配便代と引越代が「通信費」に入っています。 一方でインターネット接続料は「通信」ではなく、大分類「教養娯楽」の中の品目(88Y)に分類されています。携帯電話通信料の品目定義には、次のように書かれています。
スマートフォン・携帯電話の音声通話、データ通信に係る料金。/× モバイルWi-Fi通信料→88Y
モバイルWi-Fiの通信料は携帯電話通信料に入れず、88Y(インターネット接続料)に入れる、という意味です。
つまり家計調査の「通信費 11,661円」をそのまま「スマホ代」として読むと、宅配便代を含み、自宅のネット回線代を含まない額を見ていることになります。
もう1つ注意点があります。端末の分割払いは、購入した月に全額が計上されます。 以降の返済は消費支出に計上されません。端末を買った月だけ通信費が跳ね上がる集計になっています。
単身世帯の数字
一人暮らしの通信費を知りたい場合、どちらの統計を見るかで変わります。
| 家計調査「通信」 | 家計消費状況調査 | |
|---|---|---|
| 二人以上の世帯 | 11,661円 | 11,464円 |
| 総世帯 | 9,643円 | 9,129円 |
| 単身世帯 | 6,403円 | 5,383円 |
単身世帯では家計調査のほうが1,020円高くなっています。ただし2つは定義も調べた世帯も違う別の調査なので、この差を品目ごとに分けることはできません。定義の上では、家計調査の「通信」には郵便料・固定電話・宅配便代・端末代も入っています。携帯電話の料金だけを知りたいなら、家計消費状況調査のほうが定義が近くなります。
平均は中央値より825〜1,824円高い
総務省の利用者意識調査(2021年3月、Webアンケート6,000人。携帯電話料金を自分で支払っていない人は除く)には、平均だけでなく階級別の分布が載っています。ここから中央値の位置が分かります。
| 値 | |
|---|---|
| 平均(総支払額) | 5,824.8円 |
| 累積 4,000円まで | 41.5% |
| 累積 5,000円まで | 51.5% |
| 中央値が入る階級 | 4,001〜5,000円 |
累積が50%を超えるのは5,000円の階級なので、中央値はそこに入ります。平均のほうが825〜1,824円高いことになります。中央値の正確な値が分からないので、差もこの幅でしか言えません。
「平均5,824.8円」を基準に自分の請求額を見ると、半数以上の人は「平均より安い」側に入ります。
なおこの調査は、項目ごとの平均も出しています。
| 平均 | |
|---|---|
| 総支払額 | 5,824.8円 |
| 通信料金のみ | 3,297.1円 |
| 端末代金のみ | 2,717.4円 |
それぞれ別に出した平均なので、下の2つを足しても総支払額にはなりません(足すと6,014.5円)。端末代金のみの平均2,717.4円は、総支払額の平均の46.7%にあたります。
内外価格差調査は実支払額ではない
4つ目の内外価格差調査は、性質が違います。実際の支払額を集計したものではなく、利用モデルを設定して机上で計算した額です。
本調査におけるモデル料金とは、各都市の通信料金を比較するために、通信回数、通話時間、メール送受信数、データ通信量など月当たりの利用形態(モデル)を設定し、このモデルに従って要する月当たりの総支払額を指す。
東京の値(令和7年12月時点)はこうなっています。
| 月額 | |
|---|---|
| シェア1位事業者 2GB〜20GBのモデル | 2,974円 |
| シェア1位事業者 50・100GBのモデル | 4,954円 |
| シェア1位事業者 無制限のモデル | 9,332円 |
| 最安事業者 2GBのモデル | 1,384円 |
| 最安事業者 無制限のモデル | 4,337円 |
都市間の比較が目的の数字なので、「日本人の平均支払額」として読むものではありません。
自分の請求額と比べるとき
統計と比べるなら、次を揃えてください。
- 単位。世帯か、個人か
- 端末代。分割払いの残債が請求に含まれているか
- 自宅のネット回線。家計調査の「通信」には含まれていない
- 調査時期。利用者意識調査は2021年3月の数字
そのうえで高いと感じたら、次に見るのは自分が実際に何GB使っているかです。プランの選び方については 格安SIMと大手16プラン、最安が入れ替わる6地点 でデータ量ごとに計算しています。
この記事の限界
利用者意識調査は2021年3月の数字です。 この名称での単独公表はこれが最後で、2026年9月時点で約5年半前の値になります。新しい数字とつなげて時系列にはしていません。
中央値は階級から読んだものです。 調査が中央値そのものを公表しているわけではなく、累積分布が50%を超える階級を特定したものです。階級内の正確な値は分かりません。
移動通信トラヒックの統計には中央値がありません。 総務省は1契約あたりの実測トラヒック(令和8年3月分で月間15,786.1MB)を公表していますが、PDF・Excelを全行走査したところ中央値と分布は含まれていませんでした。データ量の平均と中央値がどれだけ離れているかは、公的統計からは示せません。
民間調査は使っていません。 データ通信量については中央値を公表している民間調査がありますが、そのプレスリリースは報道機関以外の掲載に承諾を要すると定めているため、当サイトでは扱っていません。方針は 検証方法 に記載しています。
平均が中央値の階級より高い理由は特定できません。 高い額を払っている人がどういう契約なのか(大容量プランか、端末の分割払いが重いのか)は、この調査からは分かりません。
データは2026年9月3日に取得したものです。
出典:総務省統計局「家計調査」「家計消費状況調査」の収支項目分類および用語解説、総務省「携帯電話の料金等に関する利用者の意識調査」(2021年3月)、「電気通信サービスに係る内外価格差調査」(令和7年度)、「我が国の移動通信トラヒックの現状」を取得して集計。