生活費の分岐点

通信費の平均が調べ方で倍ちがう理由

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通信・スマホ 公開 2026-09-29 データ取得 2026-09-03

世帯の「通信費の平均」は、調査と世帯の区分で 2.2倍 単身世帯5,383円から二人以上の世帯11,661円まで(2025年平均)

この記事の根拠

  • 独自集計 家計調査の中分類「通信」には運送料(宅配便・引越代)と携帯電話機(端末本体)が含まれ、インターネット接続料は含まれない(大分類「教養娯楽」配下) 総務省統計局 家計調査 収支項目分類の品目定義を取得して確認 / 2026-09-03取得
  • 独自集計 総務省の利用者意識調査では平均5,824.8円に対し、累積分布から中央値は4,001〜5,000円の階級に入り、平均が中央値を825〜1,824円上回る 総務省「携帯電話の料金等に関する利用者の意識調査」(2021年3月)の平均値と階級別分布から算出 / 2026-09-03取得

データの取得方法と計算の方針

「スマホ代の平均」「通信費の平均」を統計で調べると、どの調査のどの数字を見るかで、まるで違う額が出てきます。

公的統計だけでも、測っているもの(世帯か個人か、何を含むか)が違います。 4つの公的統計の定義を確認して、何がどう違うのかを整理しました。

4つの統計が測っているもの

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調査 単位 値(時点) 端末代 ネット接続料
家計調査「通信」 世帯(二人以上) 11,661円(2025年平均) 含む 含まない
家計消費状況調査 世帯(二人以上) 11,464円(2025年平均) 含まない 含まない
利用者意識調査 個人 5,824.8円(2021年3月) 含む —
内外価格差調査 1回線 モデル料金(令和7年12月時点) 含まない —

世帯単位と個人単位が混在しています。 世帯には複数人の回線が含まれるので、一人あたりの額とは比べられません。

家計調査の「通信」には宅配便代が入っている

家計調査の中分類「通信」に含まれるのは、次の6品目です。

「通信」に含まれる 「通信」に含まれない
郵便料 インターネット接続料
固定電話通信料
携帯電話通信料
運送料(宅配便・引越代)
携帯電話機(端末本体)
他の通信機器

宅配便代と引越代が「通信費」に入っています。 一方でインターネット接続料は「通信」ではなく、大分類「教養娯楽」の中の品目(88Y)に分類されています。携帯電話通信料の品目定義には、次のように書かれています。

スマートフォン・携帯電話の音声通話、データ通信に係る料金。/× モバイルWi-Fi通信料→88Y

モバイルWi-Fiの通信料は携帯電話通信料に入れず、88Y(インターネット接続料)に入れる、という意味です。

つまり家計調査の「通信費 11,661円」をそのまま「スマホ代」として読むと、宅配便代を含み、自宅のネット回線代を含まない額を見ていることになります。

もう1つ注意点があります。端末の分割払いは、購入した月に全額が計上されます。 以降の返済は消費支出に計上されません。端末を買った月だけ通信費が跳ね上がる集計になっています。

単身世帯の数字

一人暮らしの通信費を知りたい場合、どちらの統計を見るかで変わります。

家計調査「通信」 家計消費状況調査
二人以上の世帯 11,661円 11,464円
総世帯 9,643円 9,129円
単身世帯 6,403円 5,383円

単身世帯では家計調査のほうが1,020円高くなっています。ただし2つは定義も調べた世帯も違う別の調査なので、この差を品目ごとに分けることはできません。定義の上では、家計調査の「通信」には郵便料・固定電話・宅配便代・端末代も入っています。携帯電話の料金だけを知りたいなら、家計消費状況調査のほうが定義が近くなります。

平均は中央値より825〜1,824円高い

総務省の利用者意識調査(2021年3月、Webアンケート6,000人。携帯電話料金を自分で支払っていない人は除く)には、平均だけでなく階級別の分布が載っています。ここから中央値の位置が分かります。

値
平均(総支払額) 5,824.8円
累積 4,000円まで 41.5%
累積 5,000円まで 51.5%
中央値が入る階級 4,001〜5,000円

累積が50%を超えるのは5,000円の階級なので、中央値はそこに入ります。平均のほうが825〜1,824円高いことになります。中央値の正確な値が分からないので、差もこの幅でしか言えません。

「平均5,824.8円」を基準に自分の請求額を見ると、半数以上の人は「平均より安い」側に入ります。

なおこの調査は、項目ごとの平均も出しています。

平均
総支払額 5,824.8円
通信料金のみ 3,297.1円
端末代金のみ 2,717.4円

それぞれ別に出した平均なので、下の2つを足しても総支払額にはなりません(足すと6,014.5円)。端末代金のみの平均2,717.4円は、総支払額の平均の46.7%にあたります。

内外価格差調査は実支払額ではない

4つ目の内外価格差調査は、性質が違います。実際の支払額を集計したものではなく、利用モデルを設定して机上で計算した額です。

本調査におけるモデル料金とは、各都市の通信料金を比較するために、通信回数、通話時間、メール送受信数、データ通信量など月当たりの利用形態(モデル)を設定し、このモデルに従って要する月当たりの総支払額を指す。

東京の値(令和7年12月時点)はこうなっています。

月額
シェア1位事業者 2GB〜20GBのモデル 2,974円
シェア1位事業者 50・100GBのモデル 4,954円
シェア1位事業者 無制限のモデル 9,332円
最安事業者 2GBのモデル 1,384円
最安事業者 無制限のモデル 4,337円

都市間の比較が目的の数字なので、「日本人の平均支払額」として読むものではありません。

自分の請求額と比べるとき

統計と比べるなら、次を揃えてください。

  1. 単位。世帯か、個人か
  2. 端末代。分割払いの残債が請求に含まれているか
  3. 自宅のネット回線。家計調査の「通信」には含まれていない
  4. 調査時期。利用者意識調査は2021年3月の数字

そのうえで高いと感じたら、次に見るのは自分が実際に何GB使っているかです。プランの選び方については 格安SIMと大手16プラン、最安が入れ替わる6地点 でデータ量ごとに計算しています。

この記事の限界

利用者意識調査は2021年3月の数字です。 この名称での単独公表はこれが最後で、2026年9月時点で約5年半前の値になります。新しい数字とつなげて時系列にはしていません。

中央値は階級から読んだものです。 調査が中央値そのものを公表しているわけではなく、累積分布が50%を超える階級を特定したものです。階級内の正確な値は分かりません。

移動通信トラヒックの統計には中央値がありません。 総務省は1契約あたりの実測トラヒック(令和8年3月分で月間15,786.1MB)を公表していますが、PDF・Excelを全行走査したところ中央値と分布は含まれていませんでした。データ量の平均と中央値がどれだけ離れているかは、公的統計からは示せません。

民間調査は使っていません。 データ通信量については中央値を公表している民間調査がありますが、そのプレスリリースは報道機関以外の掲載に承諾を要すると定めているため、当サイトでは扱っていません。方針は 検証方法 に記載しています。

平均が中央値の階級より高い理由は特定できません。 高い額を払っている人がどういう契約なのか(大容量プランか、端末の分割払いが重いのか)は、この調査からは分かりません。

データは2026年9月3日に取得したものです。


出典:総務省統計局「家計調査」「家計消費状況調査」の収支項目分類および用語解説、総務省「携帯電話の料金等に関する利用者の意識調査」(2021年3月)、「電気通信サービスに係る内外価格差調査」(令和7年度)、「我が国の移動通信トラヒックの現状」を取得して集計。

よくある質問

スマホ代の平均はいくらですか?

どの調査を見るかで倍以上変わります。 二人以上の世帯なら家計調査の「通信」が11,661円、家計消費状況調査の携帯通信料が11,464円、単身世帯なら5,383円〜6,403円です(いずれも2025年平均)。家計調査の「通信」には携帯電話以外も入っています。個人単位では総務省の利用者意識調査(2021年3月)で総支払額の平均が5,824.8円、通信料金のみの平均が3,297.1円でした。自分の請求額と比べるなら、単位(世帯か個人か)と端末代を含むかを揃えて見てください。

家計調査の「通信費」にはスマホ代以外も入っていますか?

入っています。中分類「通信」に含まれるのは、郵便料・固定電話通信料・携帯電話通信料・運送料(宅配便や引越代)・携帯電話機(端末本体)・他の通信機器の6品目です。一方でインターネット接続料は「通信」に入りません(大分類「教養娯楽」に分類されています)。家計調査の通信費をそのまま「スマホ代」として読むと実態からずれます。

一人暮らしの通信費の平均は?

家計調査(2025年平均)の単身世帯で、「通信」全体が6,403円/月です。ただしこれには宅配便代と端末代が含まれ、インターネット接続料は含まれません。携帯電話の通信料だけを見たい場合は、家計消費状況調査の単身世帯5,383円のほうが定義が近くなります(端末代とネット接続料を含まない)。

平均より高い/低いをどう判断すればいいですか?

平均だけで判断しないほうが確実です。総務省の利用者意識調査では、平均5,824.8円に対し、累積分布で4,000円まで41.5%・5,000円まで51.5%でした。中央値は4,001〜5,000円の階級に入るので、平均が中央値を825〜1,824円上回っています(階級しか分からないので差も幅で示しています)。平均を基準にすると、半数以上の人が「平均より安い」側に入ります。