生活費の分岐点

引っ越しのキャンセル料は払わなくていい場合がある

本記事にはプロモーションが含まれます。

住まい・引っ越し 公開 2026-09-10 / 更新 2026-09-21 データ取得 2026-09-03

3日前の確認を怠った事業者は 0円 約款第21条第1項ただし書。キャンセル料を請求できない

漫画でわかる全8コマ

この記事の計算を漫画にしました。コマは横に送って読めます。

説明漫画。業者から確認の連絡が来なかったら、キャンセル料は0円。前日や当日にやめても、請求しない決まり
1 / 8
2 / 8
3 / 8
4 / 8
5 / 8
6 / 8
7 / 8
8 / 8

漫画の中の数字の出典:国土交通省の告示(引っ越しの標準のルール)(本文でも同じ数字を使っています)

ほかの記事の漫画も読む

この記事の根拠

  • 独自集計 標準引越運送約款第21条第1項ただし書により、事業者が3日前の確認を怠った場合は解約手数料も延期手数料も請求できず、第4項により附帯サービス費用の請求もできない 標準引越運送約款の全文(最終改正 令和7年4月1日 国土交通省告示第193号)を取得し、第3条・第21条の条文を直接確認 / 2026-09-03取得
  • 独自集計 手数料の算定対象は「見積運賃等」で、料金部分は積込み・取卸し・搬出・搬入・荷造り・開梱の6作業に限定列挙されており、附帯サービス費用は含まれない 同上。第21条第2項第1号の括弧書き / 2026-09-03取得

データの取得方法と計算の方針

引っ越しのキャンセル料を調べると、「前々日20%、前日30%、当日50%」という数字が出てきます。

その先に、条文を読まないと分からないことがあります。 標準引越運送約款の第3条と第21条の条文を直接確認しました。標準引越運送約款は国の告示です(平成2年運輸省告示第577号、最終改正は令和7年4月1日 国土交通省告示第193号。事業者が独自の約款を使っている場合は「この記事の限界」を見てください)。

事業者が確認を怠ると、請求できない

第21条第1項の全文です。

当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日又は当日に行われたときに限ります。ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。

その第3条第7項がこれです。

当店は、見積書に記載した荷物の受取日の三日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。

事業者には、受取日の3日前までに連絡する義務があります。 それを怠った場合、前日でも当日でも手数料を請求できません。

3日前を過ぎても事業者から連絡が来ていない状態でキャンセルすることになった場合、この条文が使えます。なお条文は、確認の方法(電話かメールかなど)までは定めていません。

起算日は「前々日」であって3日前ではない

条文は「前々日、前日又は当日に行われたときに限ります」と限定しています。3日前まで(3日前を含む)なら手数料はかかりません。

「3日前から発生する」と説明しているサイトがありますが、3日前という日付が出てくるのは上に挙げた事業者側の確認義務のほうです。手数料の起算日ではありません。

早い 当日 4日前以前 0円 手数料なし 3日前 0円 手数料なし 前々日 20% 以内 前日 30% 以内 当日 50% 以内
標準引越運送約款 第21条の定め。手数料が発生するのは前々日・前日・当日のみで、3日前まで(3日前を含む)ならかからない。率はいずれも上限(「以内」)。
いつキャンセルするか 手数料
4日前以前 0円
3日前 0円
前々日(2日前) 20%以内
前日 30%以内
当日 50%以内

ここでいう手数料は、解約手数料・延期手数料のことです。すでに着手した附帯サービスの費用には、日付とは別の定めがあります(次の節)。

「見積総額の20%」ではない

第21条第2項第1号の括弧書きに、算定の対象が限定列挙されています。

見積運賃等(料金にあっては、積込み、取卸し、搬出、搬入、荷造り及び開梱に要するものに限る。次号及び第三号において同じ。)の二十パーセント以内

対象になるのは運賃と、この6つの作業料金だけです。

中身
算定に含まれる 運賃、積込み・取卸し・搬出・搬入・荷造り・開梱の作業料金
算定に含まれない(附帯サービスの例) エアコンの移設、不用品の処分

見積書に附帯サービスが含まれている場合、その分を除いた額に率をかけます。 見積総額に20%をかけた数字より小さくなります。

ただし附帯サービスについては、第21条第3項に別の定めがあります。

解約の原因が荷送人の責任による場合には、解約手数料とは別に、当店が既に実施し、又は着手した附帯サービスに要した費用(見積書に明記したものに限る。)を収受します。

解約の原因が荷送人の責任による場合、すでに着手した附帯サービスの費用は、手数料とは別に請求されることがあります。 ただし見積書に明記されているものに限られます。

そして第4項が続きます。

第一項ただし書の規定は、前項の費用の収受について準用します。

3日前の確認を怠った場合は、この附帯サービス費用も請求できません。 免除の効果は手数料だけでなく、附帯費用にも及びます。

延期も同じ扱い

第21条第1項は「解約手数料又は延期手数料」と併記しています。日程を延ばした場合も、キャンセルと同じ率です。

免除の条件も同じなので、3日前の確認が来ていなければ延期手数料も発生しません。なお第3項の附帯サービス費用の定めは「解約の原因が」と書いていて、延期には触れていません。

見積書に書いてあるはずです

第3条第6項は、見積書に記載すべき事項を定めています。その第6号が**「解約手数料の額」**です。

手元の見積書を見てください。解約手数料の額が書かれていなければ、約款の記載事項を満たしていません。 ただし、書かれていなかった場合に手数料がどうなるかまでは、条文には書かれていません。

2018年に引き上げられています

現在(2026年9月3日に取得した条文)の率は、2018年6月1日の改正後のものです。

現在 2018年5月以前
前々日 20% 規定なし
前日 30% 10%
当日 50% 20%

当日は20%から50%へ、前日は10%から30%へ引き上げられました。前々日の規定は改正で新設されたものです。古い記事に「当日でも2割」と書かれていることがありますが、改正前の情報です。

なお約款自体はその後も改正されており、2026年9月3日に取得した全文での最終改正は令和7年4月1日の国土交通省告示第193号です。その全文で第21条を確認しましたが、手数料の率は2018年の改正から変わっていません。

実際にキャンセルすることになったら

キャンセル料(解約手数料)は請求されるか 3日前まで(3日前を含む)にキャンセルした 手数料は請求されない(第21条第1項の対象外) 事業者から3日前までに確認の連絡が来ていない 請求されない(第21条第1項ただし書) 前々日・前日・当日で、確認の連絡も来ていた 上限20〜50%で請求されうる(荷送人の責任による場合)
条文から導かれる分岐。2つ目は第21条第1項ただし書に明記されている免除条件。

条文から言えることを順に並べます。

  1. 何日前か数える。3日前まで(3日前を含む)なら手数料はかからない
  2. 事業者から3日前までに確認の連絡が来たか確認する。来ていなければ、前日でも当日でも手数料は請求できない
  3. 見積書の内訳を見る。附帯サービスの費用は率の計算に含まれない
  4. 見積書に解約手数料の額が書かれているか確認する。見積書の記載事項に含まれている(書かれていない場合の扱いは条文に無い)

やり取りは記録が残る形(メールなど)で行うと、後から確認しやすくなります。

日にちで料金がどれだけ変わるかは別にまとめました(引っ越しの繁忙期割増は8,800円。日にちで45%変わる)。そもそも「相場」の裏付けを消費者物価指数と家計調査に探して、見当たらなかったことも書いています(引っ越し代の「相場」は公的統計2つに見当たらない)。

この記事の限界

標準引越運送約款が適用される場合の話です。 事業者が標準引越運送約款ではなく独自の約款を使っている場合は、内容が異なる可能性があります。契約時にどの約款が適用されるかを確認してください。

「以内」という上限規定です。 条文は「二十パーセント以内」と定めているので、実際の請求はこれより低いことがあります。上限を超える請求には根拠がないことになります。

手数料が発生するのは「荷送人の責任による」場合です。 天災や事業者側の事情による解約は、そもそも第1項の要件を満たしません。

法的な助言ではありません。 条文の記載を確認して整理したものです。実際に紛争になった場合は、消費生活センター(消費者ホットライン188)や専門家に相談してください。

引用は2026年9月3日時点の条文です。 約款は改正されることがあります。


出典:標準引越運送約款(最終改正 令和7年4月1日 国土交通省告示第193号)の全文を取得し、第3条および第21条の条文を確認して作成。

よくある質問

引っ越しのキャンセル料はいつから発生しますか?

受取日の前々日(2日前)からです。 約款第21条第1項は「解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日又は当日に行われたときに限ります」と定めています。3日前まで(3日前を含む)のキャンセルには手数料がかかりません。「3日前から」と説明しているサイトがありますが、3日前という日付が出てくるのは第3条第7項の事業者側の確認義務であって、手数料の起算日ではありません。

キャンセル料を払わなくていい場合はありますか?

あります。第21条第1項ただし書に「ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません」と定められています。第3条第7項は、事業者が受取日の3日前までに見積内容の変更の有無を確認する義務です。この確認が来ていなければ、前日や当日のキャンセルでも手数料は発生しません。

キャンセル料は見積総額の何%ですか?

見積総額ではありません。 第21条第2項第1号は算定対象を「見積運賃等(料金にあっては、積込み、取卸し、搬出、搬入、荷造り及び開梱に要するものに限る。次号及び第三号において同じ。)」と限定列挙しています。エアコンの移設や不用品の処分といった附帯サービスの費用は、この計算に含まれません(ただし荷送人の責任による解約では、着手済みの附帯サービスのうち見積書に明記したものは、第21条第3項で別に請求されることがあります。3日前の確認を怠った場合は、それも請求できません(第4項))。率は前々日20%以内、前日30%以内、当日50%以内です。

引っ越しを延期した場合もキャンセル料はかかりますか?

かかります。条文は「解約手数料又は延期手数料」と併記しており、延期にも同じ率が適用されます。ただし免除の条件も同じで、事業者が3日前の確認を怠っていれば延期手数料も請求できません。