ふるさと納税のワンストップは還付されない
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漫画でわかる全9コマ
この記事の計算を漫画にしました。コマは横に送って読めます。









漫画の中の数字の出典:総務省「ふるさと納税のしくみ/ふるさと納税の流れ」(本文でも同じ数字を使っています)
この記事の根拠
- 独自集計 ワンストップ特例が適用される場合、所得税からの控除は行われず全額が翌年度分の住民税から控除される
- 独自集計 ワンストップ特例の5団体という条件は寄附の回数ではなく自治体の数を指し、6団体以上では確定申告が必要になる
- 独自集計 ワンストップ特例の申告特例控除額は頭打ち後の特例控除額に割合を掛けて出すため、上限を超えた分は90%が自己負担になる
ふるさと納税で「お金が戻ってくる」と思っている人が多いのですが、ワンストップ特例を使った場合は戻ってきません。
総務省の記載です。
ふるさと納税ワンストップ特例制度が適用される場合は、所得税からの控除は行われず、全額が翌年度分の住民税から控除されます。
還付と減額は違う
同じ「控除」でも、届き方が違います。
| 確定申告 | ワンストップ特例 | |
|---|---|---|
| 所得税から | 控除される(還付されることがある) | 行われない |
| 住民税から | 翌年度分から控除 | 全額が翌年度分から控除 |
| 手元への届き方 | 払い過ぎがあれば一部が口座に入金 | 入金なし。翌年の住民税が減る |
確定申告で還付されることがあるのは、源泉徴収などで既に納めた所得税がある場合です。還付される額は、収入やほかの控除の状況によります。
上限内で寄附していれば、控除の合計額は変わりません(所得税率33%以下の場合)。引かれる先が住民税に寄っているだけです。上限を超えた場合は違います(次の見出しで計算します)。
ただし「還付」は口座にお金が入ることを指し、「住民税の控除」は翌年度の住民税が減ることを指します。同じ金額でも、財布の中の感じ方は違います。
上限を超えると、ワンストップのほうが負担が多い
ふるさと納税には、自己負担が2,000円で済む寄附額の上限があります。住民税から引かれる分のうち「特例分」が、住民税の所得割額の2割で頭打ちになる地点です。上限の式と、超えた分の自己負担はふるさと納税の上限超え、自己負担は9,979円(確定申告の場合)で計算しています。
ワンストップで所得税の代わりに住民税から引かれる額を、地方税法は申告特例控除額と呼んでいます。附則第7条の2の定めはこうです。
前項の申告特例控除額は、第三十七条の二第十一項に規定する特例控除額に、(中略)それぞれ同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額とする。
掛ける元の「特例控除額」は、所得割額の2割で頭打ちになった後の特例分です(第37条の2第11項・第314条の7第11項)。そのため上限を超えると、所得税の代わりに引かれる額も一緒に止まります。
| 所得割額20万円・所得税率10%で上限を1万円超えたとき | 確定申告 | ワンストップ特例 |
|---|---|---|
| 超えた1万円のうち所得税から戻る | 1,021円 | 0円 |
| 超えた1万円のうち住民税の基本分から戻る | 1,000円 | 1,000円 |
| 自己負担(2,000円込み) | 9,979円 | 11,000円 |
差は1,021円です。 ワンストップで超えた分の自己負担は、所得税率5%〜33%のどれでも90%です。上限内なら、どちらも自己負担は2,000円です(所得税率33%以下の場合)。
「5団体」は回数ではなく自治体の数
もうひとつ、よく取り違えられるところです。
ふるさと納税ワンストップ特例の申請を行うためには、確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である必要があります
数えるのは自治体の数です。
| やったこと | 何団体と数えるか | ワンストップ |
|---|---|---|
| A市に3回寄附 | 1団体 | 使える |
| A市・B町・C村に1回ずつ | 3団体 | 使える |
| 5つの自治体に1回ずつ | 5団体 | 使える(上限) |
| 6つの自治体に1回ずつ | 6団体 | 使えない |
同じ自治体に何度寄附しても1団体です。回数を気にする必要はありません。
一方で6団体以上になった時点で、総務省の記載どおり確定申告が必要になります。
6団体以上にふるさと納税を行った場合は、確定申告を行う必要がありますのでご注意ください。
申請書は寄附のたびに出す
ワンストップ特例は、自動では適用されません。
ふるさと納税を行う際に、ふるさと納税ワンストップ特例の申請書を提出してください。 ふるさと納税先の自治体によって、申請書が異なることがあります。
寄附1件ごとに提出が必要で、書式が自治体で違うことがあります。 5団体に寄附するなら5枚出すことになります。
令和4年中にされた寄附からは、一部の自治体でマイナンバーカードを使ったオンライン申請ができるようになっています。ただし対応しているかは自治体によります。寄附先に問い合わせてください。
確定申告する場合
ワンストップ特例を使わない、または使えない場合はこうなります。
| 内容 | |
|---|---|
| 期限 | 翌年の3月15日まで |
| 提出先 | 住所地の所轄税務署 |
| 必要なもの | 寄附を証明する書類(受領書)の添付 |
| 控除される先 | その年の所得税(還付の可能性)+翌年度の住民税 |
受領書は捨てないでください。 確定申告に必要になります。ふるさと納税専用の振込用紙などで寄附した場合は、払込票控が証明書類になることがあります。
条件ごとの手続き
| 条件 | 手続き |
|---|---|
| 確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内 | ワンストップ特例が使える(寄附のたびに申請書の提出が必要) |
| 寄附先が6団体以上 | 確定申告 |
| 医療費控除など、ほかの理由で確定申告をする | 確定申告(ワンストップ特例の対象外) |
| 口座に入金される形にしたい | 確定申告(還付されることがあるのは、払い過ぎがある場合) |
| 上限を超えて寄附した | 確定申告のほうが自己負担が少ない |
2つ以上の行に当てはまる場合は、下の行も合わせて見てください。
上限内で寄附するなら、どちらを選んでも控除の合計額は同じです(所得税率33%以下の場合)。変わるのは、手続きの手間と、お金が届く形です。上限を超えた場合だけは、確定申告のほうが自己負担が少なくなります(所得割額20万円・所得税率10%で1万円超えたとき、1,021円)。
この記事の限界
申請書の提出期限は書いていません。 一般に翌年1月10日必着とされていますが、今回参照した総務省のページには記載がありませんでした。確認できていないものは書きません。 期限は寄附先の自治体の案内で確認してください。
「確定申告をするとワンストップ特例が無効になる」とは書いていません。 ワンストップの対象は「確定申告の不要な給与所得者等」と定義されており、確定申告をする人はそもそも対象外です。無効化の手続きについて、このページには記載がありません。
上限を超えたときの額は、地方税法の条文から計算したものです。 円未満の端数処理は入れていません。申告特例控除額を引くと所得割額が足りなくなる場合の扱いは、条文で確認できていません。
還付されるかどうかは人によります。 総務省も「源泉徴収等で既に納めている所得税がある場合は還付されることがありますが、還付される金額は、ふるさと納税を行った方の収入や、他の控除等の状況によります」としています。
これは制度の一般的な説明で、個別の税額を判断するものではありません。 具体的な計算はお住まいの市区町村または所轄の税務署にお問い合わせください。
情報は記載の取得日時点のものです。
出典:総務省「ふるさと納税のしくみ/ふるさと納税の流れ」「税金の控除について」(2026年9月5日取得)。地方税法 第37条の2・第314条の7・附則第7条の2・附則第7条の3(e-Gov法令検索、2026年9月14日取得)。