生活費の分岐点

ふるさと納税の上限超え、自己負担は9,979円(確定申告の場合)

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お金・制度 公開 2026-09-25 データ取得 2026-09-05

上限を1万円超えたときの自己負担(確定申告)は 9,979円 所得税率10%の場合。ワンストップ特例なら11,000円

この記事の根拠

  • 独自集計 ふるさと納税の上限額は、住民税所得割額×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円で計算できる 総務省「ふるさと納税のしくみ/税金の控除について」の控除額の計算式(住民税からの控除・特例分が住民税所得割額の2割を超える場合の規定)から導出 / 2026-09-05取得
  • 独自集計 上限を超えた分は、確定申告・所得税率10%の場合79.79%が自己負担になる 同じ計算式と、国税庁「No.2260 所得税の税率」の速算表、復興特別所得税2.1%から算出 / 2026-09-05取得
  • 独自集計 ワンストップ特例の申告特例控除額は頭打ち後の特例控除額に割合を掛けて出すため、上限を超えた分は90%が自己負担になる 地方税法 第37条の2第11項・第314条の7第11項・附則第7条の2・附則第7条の3(e-Gov法令API) / 2026-09-14取得

データの取得方法と計算の方針

ふるさと納税の上限額は、シミュレータに年収を入れて出すものだと思っていました。

ところが総務省の計算式を読むと、上限が決まる条件は1つだけでした。そこを解けば、年収を使わずに上限が出ます。

題名の9,979円は、確定申告をした所得税率10%の人が上限を1万円超えたときの自己負担です。「2,000円に、はみ出した1万円がまるごと足される」なら、2,000円 + 10,000円 = 12,000円です。実際は、はみ出した分にも所得税から1,021円、住民税の基本分から1,000円が戻るので、12,000円 − 2,021円 = 9,979円になります。ワンストップ特例を使った場合は所得税の分が戻らず、11,000円です(後半で計算します)。

説明漫画。上限を1万円超えたときの自己負担(確定申告)は9,979円。2,000円+戻らない7,979円=9,979円
数字の出典:総務省「税金の控除について」、国税庁「No.2260 所得税の税率」

総務省は控除を3つに分けている

原文のままです。

計算式
(1) 所得税からの控除 (ふるさと納税額 − 2,000円)×「所得税の税率」
(2) 住民税からの控除(基本分) (ふるさと納税額 − 2,000円)× 10%
(3) 住民税からの控除(特例分) (ふるさと納税額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税の税率)

3つを足すと (ふるさと納税額 − 2,000円) の全額になります。だから自己負担は2,000円です。

ただし (3) には条件がついています。

この特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、上記の計算式で決まります。

超えた場合は別の式になります。

(3)' 住民税からの控除(特例分) =(住民税所得割額)× 20% この場合、①、②及び③の3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。

これが「上限」の正体です。 上限という数値がどこかに決まっているのではなく、(3) が頭打ちになる地点がそう呼ばれています。

等号にすれば上限が出る

(3) が所得割額の2割とちょうど等しくなるところが境目です。

(寄附額 − 2,000)×(90% − 所得税率 × 1.021)= 所得割額 × 20%

  → 上限 = 所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税率 × 1.021)+ 2,000円

1.021は復興特別所得税です。国税庁は「原則としてその年分の基準所得税額の2.1パーセント」としており、総務省も、令和19年(2037年)中の寄附までは「所得税の税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります」と書いています。

必要なのは所得割額と所得税率の2つだけです。年収も社会保険料も要りません。所得割額は、市区町村民税と道府県民税の合計を使います。ただし通知書の所得割額は前年の所得に対する額なので、収入が大きく動いた年はその分ずれます。

所得割額から引く表

住民税決定通知書の所得割額(市区町村民税と道府県民税の合計)で引きます。

横にスクロールできます

住民税所得割額 所得税率5% 所得税率10% 所得税率20% 所得税率23% 所得税率33%
50,000円 13,779円 14,533円 16,372円 17,034円 19,760円
100,000円 25,559円 27,066円 30,744円 32,068円 37,520円
150,000円 37,338円 39,599円 45,116円 47,101円 55,279円
200,000円 49,117円 52,132円 59,488円 62,135円 73,039円
300,000円 72,676円 77,197円 88,232円 92,203円 108,559円
400,000円 96,234円 102,263円 116,976円 122,270円 144,078円
500,000円 119,793円 127,329円 145,719円 152,338円 179,598円
800,000円 190,468円 202,526円 231,951円 242,540円 286,156円

年収から推定するより誤差が少なくなります。 所得割額は実際に決まった額なので、社会保険料や各種控除の仮定が入りません。

超えた分は、半分以上が戻らない

30,000円 30,000円: 2,000円 2,000円 40,000円 40,000円: 2,000円 2,000円 50,000円 50,000円: 2,000円 2,000円 52,132円(上限) 52,132円(上限): 2,000円 2,000円 60,000円 60,000円: 8,278円 8,278円 70,000円 70,000円: 16,257円 16,257円 80,000円 80,000円: 24,236円 24,236円 100,000円 100,000円: 40,194円 40,194円
寄附額ごとの実質負担(住民税所得割額20万円・所得税率10%の場合)。上限の52,132円までは2,000円で収まるが、そこを超えると超過分の79.79%が自己負担になる。総務省「税金の控除について」の計算式から算出。

住民税所得割額20万円・所得税率10%の人が確定申告をした場合の例です。上限は52,132円でした。

寄附額 自己負担
30,000円 2,000円
50,000円 2,000円
52,132円(上限) 2,000円
60,000円 8,278円
70,000円 16,257円
100,000円 40,194円

上限を超えると、(3) が頭打ちになるぶんが丸ごと自己負担になります。確定申告で所得税率10%なら**超過額の79.79%**です。

超えた1万円の行き先を分けるとこうなります(確定申告・所得税率10%)。

上限を1万円超えたとき
戻る      所得税から          1,021円(1万円 × 10% × 1.021)
戻る      住民税の基本分から   1,000円(1万円 × 10%)
戻らない  住民税の特例分       7,979円(上限で頭打ちになり、控除されない)

自己負担  2,000円 + 7,979円 = 9,979円

戻るのは所得税と住民税の基本分の2,021円(20.21%)だけで、残りの7,979円(79.79%)は戻りません。 上限までの自己負担2,000円に、この7,979円が足されます。

確定申告の場合です。

所得税率 超過分の自己負担割合 上限を1万円超えたときの自己負担
5% 84.895% 10,490円
10% 79.79% 9,979円
20% 69.58% 8,958円
23% 66.52% 8,652円
33% 56.31% 7,631円

確定申告なら、所得税率が低い人ほど、超えたときの負担割合は大きくなります。 所得税からの控除(1)が小さいぶん、戻る割合が下がるためです。

一方で上限額そのものは所得税率が高い人のほうが大きくなります。同じ所得割額20万円でも、5%の人は49,117円、33%の人は73,039円です。

ワンストップ特例だと、超えた分の90%が自己負担

総務省の記載です。

ふるさと納税ワンストップ特例の申請を行った場合、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます。

ワンストップ特例が使えるのは、確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先の自治体数が5団体以内の場合に限られます。確定申告する場合の期限は、寄附をした翌年の3月15日までです。

上限の額は、確定申告でもワンストップ特例でも同じです。上限内なら、どちらも自己負担は2,000円です(所得税率33%以下の場合)。上限を超えると、ワンストップ特例のほうが自己負担が多くなります。

「所得税の分も含めて住民税から」引かれる額は、地方税法で申告特例控除額と呼ばれています。附則第7条の2は、この額を次のように定めています。

前項の申告特例控除額は、第三十七条の二第十一項に規定する特例控除額に、(中略)それぞれ同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額とする。

掛ける元の「特例控除額」は (3) の特例分で、所得割額の2割で頭打ちになった後の額です(第37条の2第11項・第314条の7第11項)。割合は所得税率10%の区分なら10.21/79.79です(附則第7条の3)。

上限内なら、申告特例控除額は所得税から引かれるはずだった額とちょうど同じになります。上限を超えると、掛ける元が止まるので、申告特例控除額も一緒に止まります。

所得割額20万円・所得税率10% 上限ちょうど 上限を1万円超えた
住民税の特例分 40,000円 40,000円(頭打ち)
申告特例控除額(ワンストップ特例) 5,118円 5,118円(止まる)
所得税からの控除(確定申告) 5,118円 6,139円

超えた1万円の行き先を並べるとこうなります。

上限を1万円超えたとき(所得税率10%) 確定申告 ワンストップ特例
所得税から戻る 1,021円 0円
住民税の基本分から戻る 1,000円 1,000円
戻らない 7,979円 9,000円
自己負担(2,000円込み) 9,979円 11,000円

確定申告なら所得税から戻る1,021円が、ワンストップ特例では戻りません。

寄附額(所得割額20万円・所得税率10%) 確定申告 ワンストップ特例
52,132円(上限) 2,000円 2,000円
60,000円 8,278円 9,082円
70,000円 16,257円 18,082円
100,000円 40,194円 45,082円

ワンストップ特例で超えた分の自己負担は、所得税率5%〜33%のどれでも90%です。上限を1万円超えたときの自己負担は、どの税率でも11,000円になります。

この記事の限界

ワンストップ特例の計算は、地方税法の条文から出したものです。 円未満の端数処理は入れていません。申告特例控除額を引くと所得割額が足りなくなる場合の扱いは、条文で確認できていません(この記事の例では当たりません)。

この計算は「特例分が所得割額の2割を超えるか」だけを見ています。 総務省は別に、控除の対象となる寄附額に「総所得金額等の40%」(所得税分)「同30%」(住民税基本分)という上限も設けています。寄附額が非常に大きい場合はそちらに先に当たることがあり、その場合はこの記事の計算と結果が変わります。

特例分の式で使う所得税率は、所得税の計算で使う率と違う場合があります。 総務省は「個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた所得税の税率であり、(1)の所得税の税率と異なる場合があります」と注記しています。境目に近い人は結果がずれることがあります。

この記事の計算は、通知書に記載された所得割額をそのまま使う前提です。

これは制度の一般的な説明で、個別の税額を判断するものではありません。 総務省も原文でこう書いています。

具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。(ただし、お住まいの自治体によって、控除の対象となるふるさと納税額の上限はお答えできない場合があります。)

情報は記載の取得日時点のものです。


出典:総務省「ふるさと納税のしくみ/税金の控除について」、国税庁「No.2260 所得税の税率」(いずれも2026年9月5日取得)。地方税法 第37条の2・第314条の7・附則第7条の2・附則第7条の3(e-Gov法令検索、2026年9月14日取得)。

よくある質問

ふるさと納税の上限額はどう決まりますか?

住民税の特例分が「住民税所得割額の2割」を超えないところまでです。総務省は控除を3つに分けて示していて、そのうち住民税の特例分だけに「所得割額の2割」という頭打ちがあります。ここを等号にして解くと、所得割額×20% ÷(90% − 所得税率×1.021)+ 2,000円が上限になります。1.021は復興特別所得税(2.1%)ぶんです。

年収がわからなくても計算できますか?

できます。むしろそのほうが正確です。 必要なのは住民税決定通知書に載っている所得割額(市区町村民税と道府県民税の合計)と、自分の所得税率の2つだけです。年収から推定する方法は、社会保険料や各種控除を仮定するぶんだけ誤差が入ります。所得割額は実際に決まった額なので、その仮定が要りません。

上限を少し超えたらどうなりますか?

超えた分は、半分以上が戻りません。 確定申告をした所得税率10%の人なら、超過額の79.79%が自己負担になります。上限を1万円超えると、自己負担は2,000円ではなく9,979円です。3万円超えれば25,937円になります。ワンストップ特例を使った場合は超過額の90%が自己負担で、1万円超えると11,000円です。「少しくらい超えても2,000円のまま」ではありません。

所得税率が高い人と低い人ではどちらが不利ですか?

確定申告なら、超過したときの負担割合は所得税率が低い人のほうが大きくなります。 所得税率5%なら超過額の84.895%、10%なら79.79%、20%なら69.58%、33%なら56.31%が自己負担です。所得税からの控除が小さいぶん、戻る割合が下がるためです。ただし上限額そのものは所得税率が高い人のほうが大きくなります。ワンストップ特例の場合は、所得税率5%〜33%のどれでも超過額の90%です。