電気代の政府支援は9月使用分で切れる。過去3年半の履歴を並べたら周期が見えた
この記事の根拠
- 独自集計 2023年1月からの支援単価20区間を集計すると、支援は毎年1〜3月と7〜9月にのみ実施され、4〜6月と10〜12月は切れる周期が2年続いている
- 独自集計 支援単価は最大7.0円/kWhから最小1.3円/kWhまで変動しており、月300kWh使用の家庭では支援の有無で月1,050円の差が出る
電気代の請求書に「電気・ガス価格激変緩和対策」といった名目の値引きが載っているのを見たことがあるでしょうか。国が電気代を補助している分です。
この支援は、現時点で公表されている実施期間が2026年9月使用分までです。 延長の発表はありません。
「じゃあ10月から上がるのか」で終わる話ではありません。この支援は2023年から切れたり再開したりを繰り返しています。過去の履歴を全部並べたところ、はっきりした周期が出てきました。
支援の全履歴
2023年1月から現在までの、低圧(一般家庭)向け値引き単価です。
| 期間 | 値引き単価 |
|---|---|
| 2023年1月〜8月 | 7.0円/kWh |
| 2023年9月〜2024年4月 | 3.5円/kWh |
| 2024年5月 | 1.8円/kWh |
| 2024年6月〜7月 | なし |
| 2024年8月〜9月 | 4.0円/kWh |
| 2024年10月 | 2.5円/kWh |
| 2024年11月〜12月 | なし |
| 2025年1月〜2月 | 2.5円/kWh |
| 2025年3月 | 1.3円/kWh |
| 2025年4月〜6月 | なし |
| 2025年7月 | 2.0円/kWh |
| 2025年8月 | 2.4円/kWh |
| 2025年9月 | 2.0円/kWh |
| 2025年10月〜12月 | なし |
| 2026年1月〜2月 | 4.5円/kWh |
| 2026年3月 | 1.5円/kWh |
| 2026年4月〜6月 | なし |
| 2026年7月 | 3.5円/kWh |
| 2026年8月 | 4.5円/kWh |
| 2026年9月 | 3.5円/kWh |
周期が見える
直近2年を並べ替えると、はっきりします。
| 1〜3月 | 4〜6月 | 7〜9月 | 10〜12月 | |
|---|---|---|---|---|
| 2025年 | あり | なし | あり | なし |
| 2026年 | あり | なし | あり | ? |
支援は冷暖房で電力使用量が増える夏と冬にだけ実施され、春と秋は切れています。 これが2年続いています。
つまり「2026年9月使用分で終了」は、この周期どおりであれば恒久的な終了ではなく、秋の中断である可能性が高い。過去5回、支援がゼロになった区間がありましたが、5回とも数か月後に再開しています。
ただし、これはあくまで過去のパターンです。予算措置なので、次も再開するとは限りません。ここは断言できません。
いくら上がるのか
支援が切れると、値引き分がそのまま請求額に乗ります。2026年9月使用分の単価は3.5円/kWhなので、切れた月の負担増はこうなります。
| 月間使用量 | 負担増(月) | 3か月分 |
|---|---|---|
| 200kWh | 700円 | 2,100円 |
| 300kWh | 1,050円 | 3,150円 |
| 400kWh | 1,400円 | 4,200円 |
| 500kWh | 1,750円 | 5,250円 |
一般的な家庭(月300kWh前後)で月1,050円。過去の周期どおり10〜12月の3か月間切れるなら、その間で3,150円の増加です。
請求書では1か月ずれる
ここが混乱しやすい点です。
政府が言う「9月使用分」は、電力会社の請求上は「10月分」にあたります。9月中の検針日から10月中の検針日までの使用が対象になるためです。
実際に東京電力の資料と政府の公表を突き合わせると、完全に一致します。
| 政府の表記 | 単価 | 電力会社の表記 |
|---|---|---|
| 2026年7月使用分 | 3.5円 | 2026年8月分 |
| 2026年8月使用分 | 4.5円 | 2026年9月分 |
| 2026年9月使用分 | 3.5円 | 2026年10月分 |
つまり、値引きが消えた請求書が届くのは11月分からです。 10月に届く請求書にはまだ値引きが載っています。11月に「急に上がった」と感じることになります。
何ができるか
支援の有無は自分でどうにもできません。できるのは、支援が乗っていない状態での自分の電気代を把握しておくことです。
いま届いている請求書の値引き額を確認して、その分を足した金額が「支援なしの実力値」です。その金額で見て高いと感じるなら、契約プランの見直しが選択肢になります。
なお料金プランを比較する際、燃料費調整単価の数字だけを会社間で並べても意味がありません。会社ごとに算定式が違い、同じ月でも符号が逆になることがあります。比較するなら基本料金を含む月額総額です。この点は 燃料費調整単価を並べて比べるのは無意味だった で、国の貿易統計から各社の式を再現して確かめています。
この記事の限界
支援の再開は予測できません。 過去5回すべてで再開していますが、これは予算措置であり、周期が続く保証はありません。「10〜12月は切れて2027年1月に再開する」と読めるデータですが、そう決まっているわけではありません。 公式の発表があるまでは推測です。
単価は据え置きとは限りません。 再開したとしても、過去の実績では1.3円から7.0円まで幅があります。同じ3.5円で戻る保証はありません。
低圧(一般家庭)の数値です。 高圧契約の事業者向けは単価が異なり、おおむね低圧の半分程度で推移しています。
支援の対象は電気だけではありません。 都市ガスにも同様の支援があり、こちらは別単価です。この記事では扱っていません。
情報は記載の取得日時点のものです。最新の実施状況は資源エネルギーの公式ページで確認してください。
出典:資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」の公表情報を集計して作成。